産業向けIoT(IIoT)の実装で直面する大きな課題の1つは、情報技術(IT)と運用技術(OT)におけるネットワークの融合である。本稿では、これらネットワークの融合を実現する「IEEE 802.1 TSN(Time Sensitive Networking)」の概要と実装について解説する。
産業向けIoT(以下、IIoT)の実装で直面する大きな課題の1つは、情報技術(IT)と運用技術(OT)におけるネットワークの融合である。現在ITとOTのネットワークは別々の階層にあり、相互接続を行うためには専用のゲートウェイなどが必要になる。IIoTでノードが相互接続するシステムを実現するには、これらのネットワークの融合が重要だ。
現行のファクトリーオートメーション(FA)を制御するアーキテクチャは、図1のような階層構造になっている。最上位に位置するERP(基幹系業務システム)アプリケーションがビジネス コア プロセスの管理とオートメーションの統合を実現しつつ、下位では製造工程を制御するMES(製造実行システム)が動作する。
PLC(プログラマブル ロジック コントローラー)が、最下層に位置するセンサーやI/Oなど接続された産業用機器を使用してオートメーションタスクを実行する。
図1に示したピラミッドには、段ごとに異なるネットワーク要件がある。上の段では高帯域幅と、柔軟性のあるネットワークトポロジーが必要だ。下の段では動作が確定的なこと、パケットの遅延の程度にばらつきが少なく一定の間隔でサンプルを転送できることが必要になる。この結果、複数のネットワークが並んで稼働する。
コンバージドネットワーク(Converged Network)は、現行のばらばらなネットワークアーキテクチャが持つ複数の課題を解決できる。
*)OPC UA(Unified Architecture):産業オートメーション標準通信規格。
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