電力計ではさまざまな測定結果を得ることができる。ここでは電力計から得られる測定値や演算結果について解説する。
電力計が電圧や電流の信号から直接得ることができる基本的な測定値である。得られる測定値は電圧と電流の平均値、実効値、ピーク値、直流成分、交流成分として表示できる。また、基本周波数も測定して表示できる。
電力には皮相電力、有効電力、無効電力の3つがある。皮相電力は電流と電圧のそれぞれの実効値を掛けた結果である。そのため電圧と電流の位相差は考慮されない。有効電力は負荷で消費される電力のことである。無効電力は負荷で消費されない電力である。有効電力と無効電力は電圧と電流の位相差が考慮されている。
皮相電力に対する有効電力の割合を示す指標である。モーターや鉄芯(磁気)式安定器を使った蛍光灯などのコイルが電源に接続される機器では、無効電力が大きくなる。そのため、必要な有効電力を得ようとすると大きな電流が必要となり、配電線に負担が掛かる。このような機器は、力率が低い機器といわれる。力率が低い機器では、力率改善のために進相コンデンサーや交流リアクトルが取付けられている。
連続して電圧波形と電流波形を測定することによって、有効電力、無効電力、皮相電力の積算値を得ることができる。
インバーター装置やスイッチング電源などの電力変換器では変換効率の測定が必須となる。効率測定では、電力変換器の入出力の電圧と電流を測定することによって得られる。
高機能な電力計では、モーターに取り付けられたトルクセンサーによって機械的な力を同時に測定できる製品もある。このような電力計を使うと、モーターを含めたエネルギー変換効率を測定できる。
1994年に名古屋市科学館で発生した電源高調波による爆発火災事故を契機として、国内では高調波への関心が高まり、高調波の発生源である電力変換器への規制が始まった。現在では、IEC規格によって高調波エミッションの測定法や基準値が定められている。
高調波規格試験には規格が要求した性能を満足する交流電源と電力計が使われ、高調波電流を次数ごとに測定する。
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