修理用の部品を決める必要があるが、トランジスタは同等の高耐圧のトランジスタが手持ち品にあった。ダイオードは1kV耐圧の整流ダイオードで十分だろう。電解コンデンサーをどう変更するかが一番重要だ。
整流用の4個のダイオードで2個が短絡破損していたので負荷が重い時に大きな電流がACラインから流れたと思われた。これらの部品の破損結果でやはりコンデンサーの容量が不足していることが考えられた。出力電力からコンデンサーの容量を計算した。参考だが、コーセルのパワーモジュールの例でコンデンサーと出力電力の計算式を図5に示す。
図5で出力電力を逆算するとAC100Vで60μF(120μFの直列)では25W程度、AC200Vでは4倍の100W程度になる。コンデンサーは直列にすると容量は半分になるが耐圧も半分で良いので手持ち部品から100V 220μFに決めた。交換した部品を実装した写真を図6に示す。
図6でコンデンサーの実装にはまだスペースの余裕があり、もっと大きい容量の部品も実装は可能だった。また右側のヒューズは筒型ヒューズにリードをハンダ付けして実装した。電源回路が正常に動作することを期待してAC100Vを通電した。図7に示す。
図7で基板の中央右側の赤色LEDが点灯した。一応は動作しているようだ。出力電圧を測定したら9.1Vだった。無負荷の消費電力はワットメーターで1.2Wだった。少し電力が小さいようだ。温度センサーを接続すれば電力は上がり、出力も12Vに上がるだろう。
なお、一次側の直列接続の電解コンデンサーの電圧はDC65VとDC73Vで合わせてDC138Vだった。実装されていた2つの150kΩの抵抗で電圧のバランスはとられているはずだが、コンデンサーの特性の差で少しバランスが悪い。電解コンデンサーの耐圧は大丈夫だった。
そういえば以前見たJEITA(電子情報技術産業協会)の“べからず集”に記載されていたがAC電源の整流用に電解コンデンサーを直列接続する場合は並列に100kΩ未満の抵抗を付けるように書いてあったことを思い出した。150kΩの抵抗では大きすぎてバランスが崩れたのかもしれない。
基板単体での動作確認は良好だったので、依頼主へ基板を送ってワインセラーに組み込んで動作を確認してもらうことにした。調査した資料と破損した部品も一緒に送った。あとは依頼主の報告を待つしかない。
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