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ON/OFFコンバーターの制御不安定問題(3)状態平均化法での結果と安定化動作に必要な位相/利得たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(29)(1/3 ページ)

今回は状態平均化法と呼ばれる数学的解析手法の結果について説明し、続いて安定化動作のための位相や増幅器の必要最低限度必要な利得について取り上げます。

» 2026年05月27日 11時00分 公開

 前回は図式解法で得られた結果をシミュレーションで確認しました。その結果、インダクタンスが大きくなるにつれて出力電圧の異常な落ち込み(反応)が顕著になることを確認しました。

 今回の説明に先立ってお断りがあります。前回の予告で「状態平均化法の結果と今回のシミュレーションの結果を比較……」と述べましたが、説明の都合でシミュレーション結果との比較は次回に繰り延べます。
 今回は最初に状態平均化法と呼ばれる数学的解析手法の結果について説明し、続いて連載第27回で詳しい説明を省略した安定化動作のための位相や増幅器の必要最低限度必要な利得について取り上げます。
 なお状態平均化法については筆者も紙面で誤りなく説明できるほど理解が深いわけではありません。引用した数学的記述や専門用語については説明しませんので用語として理解してください。

状態平均化法による解析

 前回までは図式解法による動作の説明でしたがON/OFF型コンバーターのこの現象は状態平均化法と呼ばれる数学的な動作解析手法でも表れます。
 前回までに説明した図式解法は微少時間(dt)を元に表現しましたがここで紹介する状態平均化法は図式解法の考え方を数式化し、結果を時間領域から周波数領域へラプラス変換したものと考えてください。
 計算手法としては各部の変化の平均を基準にしていますから信用できる周波数の範囲はスイッチング周波数の1/10程度までで、誤差があることを考慮しても1/5倍程度まででしょう。

δ変動に対するコンバーターの伝達関数

 ここで使用する昇圧型DC/DCコンバーターの各定数は次の通りです。sは複素角周波数でs=jω=j2πfです。

 DC/DCコンバーターが持つ基本的な伝達関数T0(s)は1式で表します。

 1式のω0はDC/DC変換部の共振応答周波数を表し、2式で求めます。式中のγは共振峰の鋭さQに関係する指数で、2γ=1/Qの関係にあり、3式を使います。Spiceでは各種オン抵抗を極限まで小さくしているので今回は3式をZ0≒0で近似した3’式を計算に用います。

2式

 実際のコンバーターの応答は1式の基本伝達関数に電源変動、δ変動、負荷変動などの個別の伝達関数が加算されます。

 δ変動に対応した加算される伝達関数T1(s)は4式で表されます。式中の角周波数ωd5式、あるいは近似式の5’式(rs≒0、rL≒0)で求めます。

4式

 δが変動したことによる出力電圧への影響度(利得GD)は≪6式、あるいは近似の6'式で表されます。

6式

*:昇圧型DC/DCコンバーターの出力電圧Voは、

であり、Voのδに対する数学的な感度は

となります。
 つまりδがα変動した場合にVoは(Gd×α)変動します。これは状態平均化法の近似値(理想値)の6’式と同じ値です。

 これらの式からコンバーターのδ変動に対応する総合の伝達関数T(s)は7式で計算します。

7式

 今回はパラメーターの影響の傾向を確認するだけですので2’式から6’式の近似式を用いて計算します。

として最終的な伝達関数T(s)は8式のようになります。

8式

 一般にはωdはω0より高い周波数域にありますがωdが低周波化してω0に近づくと分子の項の(1−s)の影響が強く出るようになります。

ですから、

を小さく(低周波化)する方向の各因子変動は今回取り上げている(1−s)による不安定問題を悪化させることになります。得られた傾向は次のようになり、前回の図式解法で得られたものと一致しています。

  ωdを小(低域化、影響大)    L→大、δ→大、R→小(=Io→大)

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