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» 2021年03月10日 10時00分 公開

マイコン製品出荷時に実施されているテスト内容ハイレベルマイコン講座【出荷テスト編】(2)(4/5 ページ)

[STマイクロエレクトロニクス,EDN Japan]

4.ACテスト

 通信機能のAC特性のテスト方法を解説する。図11にSTM8AF6246のSPI通信のAC特性を示す。例えば、マスターの場合、クロック出力信号の立ち上がり時間はtr(SCK)、立ち下がり時間はtf(SCK)で規定されている。また、データの入力信号のセットアップ時間は、tSU(MI)で規定されている。

図11:SPI通信のAC特性 出典:STM8AF6246のデータシート

 これらの時間もLSIテスターでテスト可能だ。

 具体的には、ファンクションテストと同じように通信機能の動作テスト用のテストパターンを実行する。これは、LSIテスターを相手に疑似的な通信を行い、正常にデータの受け渡しができるかどうかをチェックするものだ。

(1)立ち上がり時間tr(SCK)/立ち下がり時間tf(SCK)

 出力信号は、1クロック周期の範囲で、データを判別するポイント(ストローブと呼ぶ)と判別する電圧を変化させることができる。図12(b)では、2クロック目でデータがローレベルからハイレベルに変化する。立ち上がり時間の定義は図11の規格に記載されているように0.3×VDDから0.7×VDDまでの期間だ。そこで、出力信号のハイレベルの判定電圧値を0.3×VDDに設定し、ストローブ位置を二分検索で変化させながらテストパターンを実行し、0.3×VDDになるストローブ位置を検出する。図中ではストローブ②になる。次にハイレベルの判定電圧値を0.7×VDDにして、同じように0.7×VDDのストローブ位置を検出する。すると図中のストローブ④になる。ストローブ④からストローブ②の時間差が立ち上がり時間tr(SCK)に相当し、これと規格値を比較して判別する。立ち下がり時間tf(SCK)は、ローレベルからハイレベルへの変化点で同じ手法を用いればテストすることができる。

図12:SPIのAC特性テストの原理

(2)セットアップ/ホールド時間

 入力する信号の変化点は、クロックの変化点を基準に前後することができる。図12(a)の入力信号の変化点はクロックの変化点に対し-Ta〜Tbの範囲(図中ハッチングの範囲)で自由に設定できるため、SPI通信の入力信号のセットアップ時間は、クロックの変化点から規格値tSU(MI)分シフトして入力することでテストする。

 他の入力信号の規格(ホールド時間など)についても同じ手法でテストできる。

5.電源関連(消費電流)のテスト

 マイコンでは必ず、通常動作時や低消費電力モード*1)などの消費電流が定義され、電流値が規定されている。

 LSIテスターの電源ユニットは、電源を供給するだけでなく、電圧値、電流値を高精度で測定することができるので、テスト方法はそれほど複雑ではない。ファンクションテストと同様にテストパターンを実行し、その時の電流値を測定すればよい。

 低消費電力モードの消費電流の場合は、テストパターンを実行し、マイコンを低消費電流モードに入れて電流値を測定する。

 マイコン内のすべてのMOSをオフし、総リーク電流(漏れ電流)を測定することで故障を検出する手法をIDDQテストと呼ぶ。IDDQテストも消費電流のテストの一種である。マイコンの内部MOSをすべてオフするテストパターンを実行すると、電源には各MOSのリーク電流の総計が流れる。実際には数マイクロアンペアまたは数ナノアンペア以下になる。マイコン内に故障があると総リーク電流が規定値よりも大きくなり、故障を検出できる。

【補足】 消費電流を測定する際のテストパターンは、マイコンがテストモードの状態でないと実行できない。しかし、テストモードの時は、マイコン内のテスト回路が動作しているため、通常の消費電流にテスト回路の消費電流が加わるため、正確な測定ができない。そのため、消費電流を測定する際はテスト回路の消費電流が含まれないような工夫が必要となり、その仕組みはマイコンの開発/設計段階で作り込まれる。前述したBISTはその1つである。


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