メディア

壊れたテレビの電源基板の修理【前編】――強力な参考回路図を入手!Wired, Weird(1/2 ページ)

友人から『自宅のテレビが壊れて、電源が入らなくなった』と相談があった。今回は、国内の著名なメーカーのテレビの修理を報告する。

» 2025年03月11日 10時00分 公開

⇒連載「Wired, Weird」バックナンバー

 電気機器の修理を勉強している友人から修理の相談があった。『自宅のテレビが壊れて、電源が入らなくなった』ということだった。友人には少し無理なレベルの修理だが、前向きな気持ちを応援しようと思いテレビの修理を手伝った。今回は、国内の著名なメーカーのテレビの修理を報告する。まずはテレビの電源基板の部品面の写真を図1に示す。

<strong>図1:友人から修理を相談されたテレビの電源基板の部品面</strong> 図1:友人から修理を相談されたテレビの電源基板の部品面[クリックで拡大]

 図1の上左のコネクターがAC100V電源の入力だ。ノイズフィルターと突入電流防止回路を通してダイオードブリッジで整流し、図1上側の中央部のチョークコイルを経て、図1上右側の電解コンデンサーに充電していた。安価なベークの片面基板が使用されていた。筆者は40年ほど前に量産製品の設計に携わっており、その当時を思い出した。当時は安価な片面基板でパターンを自分で設計し、フォーミングマシンで部品のリードを折り曲げ、自動機で基板に部品を実装し安価に製品を作っていた。基板の実装ミスを減らすために実装する部品の向きを決めて配置し、点検しやすいように基板上にチェックポイントを明示して電圧などをシルクで印刷していた。

まずは基板上部のPFC回路を確認

 図1に示した電源基板の上部は電源の力率を改善するPFC回路で、PFC制御ICは図1右上に実装された16ピンのDIP ICでR2A20113とシルク印刷されていた。図2に示す。

<strong>図2:中央にある16ピンのDIP ICがPFC制御ICだ</strong> 図2:中央にある16ピンのDIP ICがPFC制御ICだ[クリックで拡大]

 PFC制御ICのR2A20113のデータシートを調べたが、DIP16ピンのデータシートはなくSOP8ピンのデータシートがあった。PFCのICの機能は把握しており、この程度の情報でも安心して修理できるだろう。AC100Vを通電すると電解コンデンサーにDC390Vの電圧が生成されていた。図2右上の電解コンデンサーの電圧で、PFC回路が正常に動作していることを確認した。消費電力は2W程度だった。ここまでのところ、電源基板は正常に動作していた。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.