5G通信の高速伝送に貢献する中空ガラスの添加剤:スリーエム ジャパン S4630、S3240-VS
スリーエム ジャパンは、中空球の微小ガラスでできた高機能添加剤「3M グラスバブルズ S4630」「3M グラスバブルズ S3240-VS」を発売した。低い比誘電率と誘電正接を特徴とし、5Gなどの伝送性能の向上に貢献する。
スリーエム ジャパンは2021年9月、中空球の微小ガラスでできた高機能添加剤「3M グラスバブルズ」のラインアップを拡充し、「S4630」「S3240-VS」の2製品を発売した。低い比誘電率と誘電正接が特徴で、5G(第5世代移動通信)や電気電子アプリケーションの伝送速度の向上と伝送損失の低減に貢献する。
高機能添加剤「3M グラスバブルズ」
3M グラスバブルズは、高耐熱性のソーダ石灰ホウケイ酸ガラスからできた、数十マイクロメートルサイズの微小中空球フィラー。新製品は、10GHzの比誘電率が1.4〜1.5と低く、かつ低水分率のため、電子デバイスの伝搬速度向上を可能にする。また、高強度かつ低密度で、材料に添加することで高価な樹脂の使用量を減らし、単位体積当たりのコスト削減に貢献する。
主な特性は、代表値でS4630がメジアン径(D50)19μm、耐圧強度110.2MPa(メガパスカル)以上、真密度0.46g/cm3、水分率0.35%以下、10GHzの比誘電率1.5、誘電正接0.005、表面処理は無し。S3240-VSがメジアン径23μm、耐圧強度41.4MPa以上、真密度0.32g/cm3、水分率0.35%以下、10GHzの比誘電率1.4、誘電正接0.004、表面処理はビニルシランだ。
5G用CCL(銅張積層板)基板やレドームカバー、コネクター、プラスチック複合材料やパーツなど、さまざまな形状と素材に適する。
- 5G通信向けの超低誘電損失LTCC材料
日本山村硝子は、5G通信向けに、超低誘電損失特性を備えたLTCC基板材料「SK4」「BR03」「FT7」を発売した。サブ6帯やミリ波帯通信で使用する回路基板、フィルターなど、通信部品の基板に適する。
- ミリ波帯アンテナ向け低伝送損失多層基板材料
パナソニック インダストリアルソリューションズ社は、ハロゲンフリー超低伝送損失多層基板材料「R-5410」を製品化した。低損失、高効率化が求められる、車載ミリ波レーダーや5G無線通信基地局の基板材料に適している。
- ミリ波帯用ハロゲンフリー超低伝送損失基板材料
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、ミリ波帯アンテナ向けに、ハロゲンフリー超低伝送損失基板材料「R-5515」を発表した。低伝送損失を0.079dB/mm(79GHz時)に抑えている。
- 低温成型と常温保存が可能なフレキシブル基板材料
パナソニックは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器向けに「低伝送損失 フレキシブル多層基板材料」を製品化した。低温成型と常温保存を可能にしたことで、高周波用フレキシブル多層基板の製造が容易になるという。アンテナモジュール用基板や高速ケーブルなどの用途を見込む。
- 嵌合高さ4mmの0.5mmピッチ基板対基板コネクター
京セラは、嵌合(かんごう)高さ最低4mmと低背の0.5mmピッチ基板対基板コネクター「5655」シリーズを発表した。挟み込み2点接点の端子構造と挿抜時の破損リスクを抑制する金具形状により、高い接触信頼性と堅牢性を確保している。
- プライベートLTE、ローカル5G向け小型アンテナ
日本航空電子工業は、小型高性能アンテナ「AN01」シリーズの周波数帯域を拡張した。実装基板上に周波数調整用のパターンを追加するだけで、プライベートLTEとローカル5Gに対応できる。全方位の送受信に対応し、最大80%以上の放射効率を誇る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.