村田製作所は、3GHz以上の高周波数帯向け高周波フィルターの量産出荷を開始した。XBAR技術を用いたもので、従来のLTCCフィルターやBAWフィルターでは困難だった高い減衰性能を可能にしている。
村田製作所は2025年7月、3GHz以上の高周波数帯向けに高周波フィルターを発表した。国内拠点で量産を開始している。
同社は、2022年に買収したResonantのXBAR技術と、自社のSAWフィルター技術を組み合わせて同製品を開発した。XBARは、くし型電極と圧電単結晶薄膜を用いてバルク波を励振させるフィルター技術だ。
従来のLTCCフィルターやBAWフィルターでは減衰量が不十分だったが、同製品はXBAR技術の採用によって3GHz以上の高周波数帯において高い減衰量を発揮し、ノイズの発生を抑える。具体的には、3300〜4800MHzで28dB、4800〜5000MHzで11dB、7737〜8237MHzで27dB、1万300〜1万4250MHzで26dB(いずれもTyp.)の減衰特性を示す。
これによって、5Gや6G、Wi-Fi 6E、Wi-Fi 7といった次世代通信規格で必要とされる、周辺周波数の不要信号の除去や必要信号の高精度な検出が可能となる。低損失、広帯域も両立していて、超高速大容量通信の品質向上に寄与する。
通過帯域は5150〜7125MHz、挿入損失は2.2dB(Typ.)、反射損失は17dB(Typ.)。スマートフォンやウェアラブルデバイス、ノートPC、ゲートウェイといった無線機能を備える機器に適している。
同社では、XBAR技術が10GHz以上の6G領域でも低損失、高減衰、広帯域を発揮できると見ていて、今後も同技術を用いた高周波フィルター製品の開発を進める。
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