マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初級者の方からよく質問される「AI時代でもマイコンが必要とされる理由」についてです。
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初級者の方からよく質問される「AI時代でもマイコンが必要とされる理由」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、初級者から多く寄せられる質問です。
最近のAIは飛躍的に進化しています。そのため、これまでマイコンを使っていたアプリケーションで、従来のマイコンの代わりにAIを使えば、より高度な制御ができようになり、マイコンは不要になるのではないでしょうか。AI時代でもマイコンが必要とされる理由はありますか? あるとするとそれはなぜですか?
確かに、最近のAIは飛躍的に進化しています。スマートフォンで容易に生成AIが使うことができ、業務で生成AIを利用している会社も増えています。しかし、これらのAIは、クラウドベースのAIが主流です。クラウドベースのAIは、コストと応答時間の面で不利な点があるので組み込みシステムには適しません。そこで、マイクロプロセッサ(以下、プロセッサ)を使用し、クラウドを必要としない限定的な機能に対してのエッジAI*1(1)の開発が進められました。近年では、コスト削減をさらに図るため、エッジAIにマイコンを利用することができるようになりました。そのため、AI時代になっても、マイコンはまだまだ必要とされます。
マイコンを使ったAI(以下、マイコンAI)*1(2)がクラウドベースのAI(以下、クラウドAI)*1(3)よりも優位な点をまとめると次の通りです。
上記理由により、AI時代といわれる今でも、組み込みシステムの限定機能に対するAI用として、マイコンは必要とされています。
一方で、マイコンは産業機器のロボットアームなどのアクチュエーター制御などにも使われています。この場合にマイコンはメカニカルな部分に指令を出す役割を担っています。ただし、AIを使うほど複雑な制御ではないので、AIや高機能なプロセッサ、SoC(System on Chip)などは必要ありません。従来型の一般的なマイコンで十分対応できます。システムコストなどを考えても、今後もマイコンが機械部分の制御に使われ続けると考えられます。
*1)言葉の定義
(1)エッジAIには、広義を含めるとさまざまな解釈があり、人によっては誤解を招く恐れがあります。そこで、本記事では、エッジAIを「データをクラウドに送って処理するAI」ではなく、「組み込みシステムの端末の中で処理を完結させるAI」と定義します。
(2)「マイコンAI」は、エッジAIの中枢機能を実現する手段がPCでもなく、マイクロプロセッサでもなく、マイコンを使用するという意味の本記事内限定の言葉です。
(3)「クラウドAI」は、マイコンAIに対して、比較対象として使用する本記事内限定の言葉です。
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