そして2015年頃から、第5世代製品が投入され始めた(図10)。この第5世代では、アプリケーションプロセッサとしてCortex-A5を搭載したSKUが追加されたほか、SHARCコアがSHARC+コアに進化、しかもDual Core構成になった(図11)。
SHARC+コアとSHARCコアの違いはパイプライン段数で、初代と第2世代は3段パイプラインだったのが、第3/4世代は5段になっていた。これがSHARC+では11段に変更された。またデータ型として64bitの倍精度浮動小数点演算に対応したほか、従来はWord単位のみだったAddressing ModeにByte単位がされるなどしている。動作周波数は最大500MHzで据え置きながら、Dual Core化したことで性能は2倍になった。
そのSHARCの最新のラインアップが2025年に発表されたSHARC-FXと、これを搭載したADSP-21830シリーズ及びADSP-SC830シリーズとなる(図12)。
このSHARC-FX、従来のDSPコアに加え、Cadence(というか旧Tensilica)のXtensa DSPコアを内蔵しており、この結果内部のVLIW命令は最大128bitの4way構成に変更となった(図13)。このXtensa DSPを利用するためのAudio Weaver core librariesはDSP Conceptsから提供されている。リリースによれば、第5世代のSHARC+ベースのDual Core製品と比較して処理性能は50%増しになっていると説明されている。SHARC+とSHARC-FXを比較すると
| 項目 | SHARC+ | SHARC-FX |
|---|---|---|
| FP32の処理性能 | 2 Multiply and add | 8 Fused Multiply-add and 8 add |
| FP64の処理性能 | 6cycleごとに2 Op | 1cycleごとに4 Op |
| 1024点FFTの処理 | 11000cycle | 2500cycle |
| Load/expf Scalar | 50cycle | 4cycle |
といった数字が示されており、もう根本的に構造が異なっている。ここまで性能が違うとアプリケーションの組み方が変わってくるので、そういう意味ではSHARC-FXで互換性を捨てたのはある意味仕方ないし、なので従来のSHARC/SHARC+のソフトウェア資産を生かしたい場合は引き続き第5世代を使い続ける事になると思われる。
この第6世代製品としては、ADSP-21840/ADSP-SC840シリーズが既にアナウンスされている(図14)が、こちらは現時点ではまだ発売されていない。
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