米Pentek社は、デジタル信号処理およびデータ取得用のシステムである「Model 4207」をリリースしている。その中で、複数の高速シリアルインターフェースがVXS仕様で実現されている(図1)。このボードは、米Freescale Semiconductor社のデュアルコアPowerPC AltiVecプロセッサ「MPC8641D」、米Xilinx社のFPGAシリーズ「Virtex-4 FX」の製品を搭載している。また、透過的なファブリック接続が可能なクロスバースイッチにより、PowerPC、FPGA、2枚のXMC(express mezzanine card)、2個のVXSポート、2個のファイバチャンネルポート、2台の光シリアルトランシーバなど、複数のギガビット/シリアルリソース間を接続する。
Model 4207では、VXS、PMC(PCI mezzanine card)、XMC、PCI-X(PCI extended)、PCIe、GbE、RocketIO、RapidIO、Fibre Channel、Xilinx Au
rora、VME64xなど、多くの標準インターフェースやプロトコルが組み合わされており、クロスバースイッチはそれらすべてに対応している。これにより、設計者は、未使用のFPGAリソースを利用して独自の信号処理アルゴリズムを実装したり、取得したデータをリアルタイムに処理したりすることができる。同製品はすでに入手可能であり、価格は1万4725米ドルからとなっている。
ATCAは、従来よりも大規模で、高い可用性を持ち、高速なファブリック接続を提供する。この技術は、通信業界で広く使用されている、独自技術を使って開発された機器を置き換えることが可能な市販製品を生み出す可能性を秘めている。ATCAの規格では、すべてのボードとモジュールのホットスワップ(活線挿抜)が可能となっている。これにより、システムの可用性をほぼ100%とすることができる。ファブリックインターフェースはフルメッシュ接続が可能であるため、各スロットはほかのどのスロットにも直接接続することができる。
また、ATCAはファブリックインターフェースを内蔵するので、ほかのボード規格のように既存製品との互換性の問題が生じることがない。ただし、ATCAの基本仕様ではデータ伝送に対して特定のファブリック技術を必須とはせず、補足仕様において、Ethernet、Fibre Channel、InfiniBand、StarFabric、PCIe、RapidIOなどに対するバックプレーンの詳細を定義している。設計者は、どのファブリック技術を使用しても規格に準拠したボードを開発することができるが、その一方で相互運用性の問題によって規格が細分化するという欠点がある。
ATCAは通信分野を対象としている。そのため、同規格を利用するシステムでは、ファブリック技術としてGbEを採用するケースが多い。米Diversified Technology社のスイッチブレード「ATS1936」はその代表例である(写真1)。ATS1936は比較的低コストのATCAスイッチであり、PICMG 3.0 ATCAの基本仕様とPICMG 3.1 Ethernetファブリックのオプション仕様に準拠している。同ブレードは、運用と管理、ファイヤウォール、暗号化用に3つのAdvancedMC(advanced mezzanine card)モジュールを搭載する。ATS1936では、ベースネットワークとファブリックネットワークを分離することにより、互いに独立した制御プレーンおよびデータプレーンと、ベースファブリックにおける1G Ethernetのスイッチングを提供する。また、拡張パスは1G/10G Ethernetのスイッチングに対応する。ATS1936(1台)の価格は5245米ドルである。
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