3種類のコンバーターの各種計算式をまとめて比較していきます。
前回は反転型コンバーターの負荷が軽くなってチョーク電流が不連続になった時のリップル電圧の計算について説明しました。
今回から本シリーズのまとめとして今まで説明してきた3種のコンバーターの各種計算式をまとめて比較し、コンバーター選定・設計に使える資料を目指します。
ここで使用する記号と定義は従来と同じく次の通りです。
tc:キャパシター充電時間 ton:コンバーター オン時間 toff:コンバーター オフ時間
δ:tonの時比率 f:コンバーター動作周波数 ts:コンバーターの1周期
IL:チョーク電流 ILP:チョーク電流の最大値 ΔIp:チョーク電流変化幅
L:チョークのインダクタンス値 ΔB:チョークの磁束振幅 Vcc:入力電圧
Iin:入力電流(DC) Vo:出力電圧 Io:出力電流(DC)
Pin:入力電力(=Vcc×Iin) Po:出力電力(=Vo×Io) RL:負荷抵抗
最初に比較するのはチョーク電流連続、かつtc=toffの動作状態です。この動作状態をMode Iと呼称し、主な特性を表1に示します。
*:Lの最小値(L(MIN))はチョーク電流が1周期を通じて途切れないモードを実現する最小のL値です。
L(MIN)を小さくするとチョークの形状は小さくなりますが電流振幅ΔIpが大きくなります。このΔIpはコアのΔBに直結していますので、仕様を満たすからといってL(MIN)を小さく(=ΔIpを大きく)とると思わぬチョークの温度上昇を招きます。仕様書上の最小電流か、指定がない場合は連続出力電流の20%程度とします。
ここではスイッチング素子としてFETを想定しています。
*1:80%ディレーティングとして計算しています。VDS×0.8>(印加電圧)→VDS>1.25×(印加電圧)
*2:toff時のチョーク誘起電圧に相当する電圧がスパイク電圧として発生すると想定しています。このスパイク電圧が重畳された印加電圧が+20%になった時でも80%ディレーテイングを満たすように係数を1.2/0.8=1.5としています。
【例】昇圧型の場合、チョーク誘起電圧は(Vo−Vcc)です。従ってスパイク電圧も同じ値として発生電圧のピーク値VpはVp=Vcc+2(Vo−Vcc)=2Vo−Vccになります。この値に係数1.5を掛けています。この係数については各自の基準があると思いますのでディレーテングの係数はそれぞれ修正してください。
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