アナログ・デバイセズのM-LVDS対応トランシーバICは、ESD耐性が15kV(HBMにおいて)と高い。伝送方式や伝送速度が異なる8品種を用意した。
アナログ・デバイセズは2012年5月、マルチポイント接続のLVDS(M-LVDS)に対応したトランシーバを8チャネル集積したIC「ADN469xE M-LVDS」シリーズを発表した。有線通信機器や無線通信の基地局、サーバ、産業機器に向くという。活線挿抜に対応するため、ESD(静電気放電)保護性能を強化しており、HBM(Human Body Model)で15kV、IEC61000-4-2規格の接触放電で8kVに相当するESD耐性を確保した。このESD耐性は、競合他社品に比べて、「最高11倍高い」(同社)という。
M-LVDSはTIA/EIA-899で定められた差動シグナリング規格。従来のLVDS規格の場合、1つの送信ノードにn個の受信ノードをつなぐには、n対の差動ペア配線(2n本の信号線)が必要になる。M-LVDSでは、これを1対の差動ペア配線で接続できる。単一のトランシーバに最大32個のノードをつなぐことが可能だ。LVDSの代わりにM-LVDSを採用すれば、基板上での配線やコネクタの実装面積を抑えることができ、コスト低減に役立つ。
8品種を用意した。レシーバ入力のしきい値が対称レベル設定もしくは−100mV、通信が半二重もしくは全二重、伝送速度が200Mビット/秒もしくは100Mビット/秒と、それぞれ異なる品種をとりそろえる。「レシーバのしきい値が−100mVの品種は、バスがアイドル状態やオープン状態のときにもレシーバ出力状態を保証しなければならない用途に役立つ。伝送速度100Mビット/秒の品種は、EMI(放射電磁雑音)を抑えなければならない用途に向く」(アナログ・デバイセズ)。
サンプル価格は1.05〜1.15米ドル。2012年5月に量産出荷を開始した。ADN469xEシリーズを実装した評価ボード「High speed Customer Evaluation Board」を75米ドルで提供する。
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