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デジタル・オシロスコープは不完全!?いまさら聞けないオシロスコープ入門(4)(2/2 ページ)

» 2012年09月03日 07時00分 公開
[稲垣 正一郎,日本テクトロニクス]
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階調による頻度情報

 頻度高く波形がなぞる部分はいつまでも明るく、たまにしか波形がなぞらない部分は薄暗く表現されるので、濃淡による波形の微妙な挙動が見て取れます。画面の中に描かれる波形の濃淡は波形の発生頻度に比例しますので、濃い部分の頻度は高く、淡い部分の頻度は低いことが分かります。

 例を挙げれば、ビデオ信号の観測において、輝度の濃淡によって表現された振幅変動や輝度変動などから、ビデオ信号品質の評価ができます。デジタル・オシロスコープが失った濃淡表現を取り戻したDPOは、頻度に関する高い観測力を持ちます。

photo ごくまれに発生する異常信号が濃淡の薄い(青い)表現で、画面に表されている

間欠異常をとらえる力

 早く製品を市場に投入するには、デバッグの効率化が必須です。デバッグの効率化にはキーとなる以下3つのステップがあります。

(1)異常波形の有・無を目で見る
(2)異常波形にトリガをかけ、画面中央に静止させる
(3)トリガ点の左側(過去の時間)から異常波形発生の原因を探す

 まず、1ができなくては、デバッグは進みません。異常波形の有・無を目で見ることが、スタートです。DPOはデバッグの開始時点における「観測力」を飛躍的に高めることにより、著しい効率化を図ることができます。

おわりに:進化したオシロスコープとそれを使いこなせる真のエンジニア

 今日のオシロスコープは、もはや波形を見るだけの装置ではありません。オシロスコープに満載された豊富な機能を活用するだけで、皆様の仕事を大きく効率アップさせることのできる魔法の箱です。

 しかし、便利過ぎる機能を使うことに慣れ、オシロスコープの基本を押さえることを忘れては本末転倒です。この連載では「いまさら聞けないオシロスコープの基本」と題して、波形を正しく見せるために、外せないポイントを説明しました。これらをしっかり押さえることにより、オシロスコープを真に使いこなせるエンジニアを目指してください。

筆者紹介

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日本テクトロニクス
テクニカルサポート・センター長
稲垣 正一郎(いながき しょういちろう)氏

テクニカル・サポート・センター長として、ユーザーの技術問合せ対応および社内の技術者育成に従事。オシロスコープに関する執筆も多く手掛ける。



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