エプソンが発表した傾斜計/振動計は、機械サーボ方式並みの分解能と安定度を備えつつ、シリコンMEMS並みの小型化を実現した。価格についても、サンプル価格が14万7000円と、機械サーボ方式の50〜70万円に比べて大幅に低価格化している。
セイコーエプソン(以下、エプソン)は2012年11月、産業分野向けに傾斜計と振動計を発表した。具体的な用途としては、高層建築物や大型構造物の水平/垂直の監視、船舶などの歪みの測定、パイプラインなど大型構造物の保全、地震による振動の計測などを想定している。
傾斜計/振動計ともに、機器に組み込むタイプの「組み込みユニット」と、CAN(Controller Area Network)インタフェースを実装した「CANユニット」の2品種がある。傾斜計/振動計の主な仕様は下記の通りである。
項目 | 傾斜計 | 振動計 |
---|---|---|
測定範囲 | 360度 | ±14G |
分解能 | 0.001度 | 10μG |
安定度 | <0.05度/年 | − |
組み込みユニットとCANユニットの仕様を下記に示す。
項目 | 組み込みユニット | CANユニット |
---|---|---|
データ出力 | SPI/UART | CAN |
サイズ | 24×24×19mm | 52×52×25mm |
重量 | 約11g | 約85g |
電源電圧 | 3.3±0.15V | 9〜30V |
消費電力 | <100mV | − |
傾斜計/振動計には、高精度に計測できるが価格が高い機械サーボ方式を用いた製品と、小型で低価格だが性能面で劣るシリコンMEMS製品がある。機械サーボ方式の製品は、5〜10cm角で価格が50〜70万円の場合もあるという。一方のシリコンMEMS製品は、2万円前後と安価だが、産業分野向けには性能が足りない。今回エプソンが発表した新製品には、独自の水晶加工技術であるQMEMSを用いて新たに開発した水晶加速度センサーを搭載しており、このような技術によって、機械サーボ方式並みの精度と、シリコンMEMS並みの小型化/低価格化を実現したとしている。
サンプル価格は1個当たり14万7000円。2013年1月よりサンプル出荷を開始し、2013年内には量産を開始する予定である。
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