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産業用途向けの傾斜/振動計、分解能0.001度で価格は14万円セイコーエプソン 傾斜計/振動計

エプソンが発表した傾斜計/振動計は、機械サーボ方式並みの分解能と安定度を備えつつ、シリコンMEMS並みの小型化を実現した。価格についても、サンプル価格が14万7000円と、機械サーボ方式の50〜70万円に比べて大幅に低価格化している。

» 2012年11月14日 12時49分 公開
[EDN Japan]

 セイコーエプソン(以下、エプソン)は2012年11月、産業分野向けに傾斜計と振動計を発表した。具体的な用途としては、高層建築物や大型構造物の水平/垂直の監視、船舶などの歪みの測定、パイプラインなど大型構造物の保全、地震による振動の計測などを想定している。

 傾斜計/振動計ともに、機器に組み込むタイプの「組み込みユニット」と、CAN(Controller Area Network)インタフェースを実装した「CANユニット」の2品種がある。傾斜計/振動計の主な仕様は下記の通りである。

項目 傾斜計 振動計
測定範囲   360度   ±14G  
分解能 0.001度 10μG
安定度 <0.05度/年  

 組み込みユニットとCANユニットの仕様を下記に示す。

項目 組み込みユニット CANユニット
データ出力   SPI/UART CAN
サイズ 24×24×19mm   52×52×25mm  
重量 約11g 約85g
電源電圧 3.3±0.15V 9〜30V
消費電力 <100mV
左が組み込みユニット、右がCANユニット

 傾斜計/振動計には、高精度に計測できるが価格が高い機械サーボ方式を用いた製品と、小型で低価格だが性能面で劣るシリコンMEMS製品がある。機械サーボ方式の製品は、5〜10cm角で価格が50〜70万円の場合もあるという。一方のシリコンMEMS製品は、2万円前後と安価だが、産業分野向けには性能が足りない。今回エプソンが発表した新製品には、独自の水晶加工技術であるQMEMSを用いて新たに開発した水晶加速度センサーを搭載しており、このような技術によって、機械サーボ方式並みの精度と、シリコンMEMS並みの小型化/低価格化を実現したとしている。

 サンプル価格は1個当たり14万7000円。2013年1月よりサンプル出荷を開始し、2013年内には量産を開始する予定である。

傾斜のモニタリング例 傾斜計を用いて2カ月間、傾斜0度(静置状態)を測定した結果を青色のグラフで示している。0度が正確に出力されており、安定度が高いことが分かる。 出典:セイコーエプソン

構造物の振動計測例 高層ビル(29階)の振動を計測した結果を示している。新製品は、長周期振動による0.1〜1Hzの周波数も精密に計測できるという。

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