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マイコンの中枢「CPU」とはマイコン入門!! 必携用語集(3)(1/2 ページ)

お待たせしました。いよいよCPUの話です。CPUはマイコンの中枢部分に相当します。30年くらい前のマイコンはCPUだけで構成されていました。メモリや周辺機能は別のICとしてプリント基板上でマイコンの周辺装置として接続されていました。それほどマイコンにとって大切な部分です。

» 2013年05月27日 10時00分 公開
[菅井 賢,STマイクロエレクトロニクス]

 CPUはCentral Processing Unitの略で、日本語で言うと中央処理装置です。入出力機器(周辺機能)を制御してデータを受け取り、演算処理して結果を出力します。演算を行う時には、データを一時的に保持する必要があり、「レジスタ」(register)と呼ばれる記録回路も備えています。このレジスタには大きく2つの方式があります。汎用レジスタ方式(レジスタマシン)とアキュムレータ方式(アキュムレータマシン)です。

汎用レジスタとアキュムレータ

 マイコンなどのデジタル回路において、フリップフロップなどの回路を用いてデータを保持する回路のことを一般にレジスタと呼んでいます。メモリもデータを保持するのに使われますが、比較的小さい容量の記憶回路をレジスタと呼びます。CPUの中にあって、演算データを一時的に保管する複数のレジスタを「汎用レジスタ」と呼んでいます。一方、周辺機能(タイマ、USART、ADコンバータなど)の設定値や測定結果を格納するレジスタは「周辺レジスタ」などとされています(呼び方は、各マイコンで異なります)。STマイクロエレクトロニクス(以下ST)のSTM32などで搭載しているARM社のCortex-M3は、汎用レジスタ方式です。

 アキュムレータも汎用レジスタと同じく、データを保持する回路です。汎用レジスタの場合は複数のレジスタがあり、ALU(Arithmetic and Logic Unit)などを介してレジスタ間の演算ができますが、アキュムレータは1つしかなく、演算は必ずアキュムレータとメモリ間で行います。そして演算結果は、アキュムレータに入ります(マイコンによってはメモリにも入ります)。アキュムレータは英語でaccumulatorと書きます。意味は、「蓄積する人(物)」、「累算器」、「積算器」、「加算器」です。

 演算結果が必ずアキュムレータに入るので、足し算を繰り返すと、演算結果が順次累積されるので、この名前が使われるようになりました。汎用レジスタ方式に比べ、回路が簡単になるというメリットがあります。

 最近では、汎用レジスタ方式がほとんどのマイコンで採用されていますが、STのSTM8シリーズはアキュムレータ方式で高性能を実現している代表的なマイコンと言えます。

CPUのブロック図

 CPUのブロック図の例を図1と図2に示します。イメージをつかみやすいように、CPU の大まかな要素だけ書き出しています。汎用レジスタ方式とアキュムレータ方式では演算装置(Execution Unit)の内部構成が異なるだけで、その他の構成要素は同じです。違いが分かりやすいように上下に並べて掲載しました。

【図1】CPUのブロック図(汎用レジスタ方式)
【図2】CPUのブロック図(アキュムレータ方式)

 メモリ(ROM)から読み出された命令コードは一度「FIFO」(プリフェッチバッファ)に格納されます。

 FIFOとは、First In First Outの頭文字です。読み方は人によって異なり、ファイフォー、フィーフォーなどと読まれることが多いようです。日本語にすると「先入れ先出し」ですが、あまり日本語で使われることはありません。最初に入ってきたものを順番に処理する方式のバッファメモリ(一時的にデータを保管するメモリ)です。

 プリフェッチバッファのプリフェッチ(pre-fetch)とは、日本語で「事前読み込み/読み出し」です。データを前もって読み出しておき、保管しておくバッファメモリです。高速なメモリを使用して、演算性能の向上を目的としています。

 デコーダとは、命令を解読する機能です。FIFOから命令を順番に読み出して、何の命令か判別します。そして、その命令の機能に従って、演算装置に命令を出します。

 演算装置(Execution Unit)はその名の通り、演算を行う装置です。この装置には汎用レジスタまたはアキュムレータとALUやシフタなどの演算機能が入っています。なお、ALUは算術演算、論理演算を受け持ち、シフタはデータをシフトする(ずらす)操作やローテート(循環)する操作に使う機能を果たします。

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