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電流ブースト回路の落とし穴Wired, Weird(1/3 ページ)

今回は5V電源の電流ブースト回路が起因する動作不良として、古いプリンタの修理事例を説明する。資料も回路図もない状態から故障原因を探っていくと、電流ブースト回路の意外な弱点が見つかった。

» 2014年02月17日 09時00分 公開
[山平豊内外テック]

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 今回は5V電源の電流ブースト回路が起因する動作不良の例を説明する。2013年5月ごろ、古い設備に内蔵されたプリンタの文字が読めないということで、修理の依頼があった。この修理も例によって資料も回路図もない。

 取りあえず現品を確認するためプリンタを送ってもらった。梱包を開け、プリンタ本体から基板を取り出したら、CPUに懐かしい「i8085」が使用されていた。電源はスイッチング電源ではなくシリーズ電源だった。プリンタも懐かしいドットプリンタだ。

「i8085」「i8251」が並ぶ基板

 筆者も35年ほど前に同様な製品を設計したことがある。この部品構成から推定すると30年以上も前に設計された基板だろう。基板全体の写真を図1に示す。本体基板の上には通信基板があるが、これにも懐かしいシリアル通信用ICの「i8251」が見える。

【図1】基板全体の写真 (クリックで拡大)

 図1で回路構成が分かるが、右側のトランスで、モーター電源と制御電源が基板へ供給され、メインの制御基板で整流されている。このプリンタには、紙送り用のステッピングモーター、ヘッド送りのステッピングモーターとプリンタヘッドのドライブ回路があった。プリンタの専用制御ICやステッピングモータの制御ICは見あたらず、CPU i8085のファームウェアでモーターなどの制御をしているようだ。

 プリンタの印字を確認すると、ドット間隔が安定せず文字が重なり読めなくなっていた。テスト印字で不良印字の例を図2に示す。

【図2】テスト印字結果(修理前)
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