高速でサンプリングした信号のピーク値を、低速のA-Dコンバーターで測定できる回路を紹介する。
低速のA-Dコンバーター(ADC)を用いて高速のピーク検出器を作ると重大な問題を引き起こす。図1に示す回路を用いれば、高速でサンプリングした信号のピーク値を、低速のADCを用いても測定できる。
この回路には、超音波パルスサンプリング用の100MHzピーク検出器に使うMaxim Integrated Productsの高速オペアンプ「MAX4231」を用いている。このオペアンプには、シャットダウン機能が付いていて、これを用いると、サンプリングした情報を失うことなく消費電力を低減できる。TTL制御入力をローにすると、第1のアンプ(IC1)はアクティブとなり、入力信号のピーク値をサンプリングする。そのとき、このピーク検出器の第2のアンプである出力アンプ(IC2)はシャットダウン状態にある。
その後、TTL制御入力をハイにすると、出力アンプがアクティブになり、サンプリング検出結果を出力する。この手法を用いると、アクティブ状態にあるアンプはいかなるときでも1個だけであるため、消費電力は約半分になる。
表1は、この回路の機能およびアンプのモードとTTL制御入力の相関を示している。この回路の最も重要な長所は、1つの測定が行われる前に、次の入力ピーク値をサンプリングしないことである。ピーク検出器の第1のアンプがシャットダウン状態ならば、読み出した値は変化することはない。この機能は、高速でサンプリングされた信号のピーク値を、低速のADCによって、所望のサンプリング間隔でモニターするのに役立つ。
この動作は従来のピーク検出回路では不可能である。R1およびC1の値を所望の時定数になるように選んで、ピーク値を保持すれば、ピーク値はそのRC時定数に従って減衰する。ピーク値が減衰するのが好ましくないならば、R1の代わりにトランジスタスイッチ(図には示していない)を付けて、新しい入力信号のピーク値をサンプリングする前に、コンデンサーをグラウンドに放電すればよい。
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
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