米国製の温調器の修理依頼が舞い込んできた。海外製温調器の修理は初めてだ。いざ修理を始めると、故障原因は国内製品と大差がなかった――。
米国で設計、製造された温調器ユニットの修理依頼が舞い込んできた。海外で製造された温調器を修理依頼は初めてだ。依頼主は『国内の販売業者に修理を断られた』と言って、依頼が届いたわけだ。
温調器ユニットの故障具合は『2チャンネルある温調器のうち、一方の温調器の電源が入らない』ということだった。米国製の温調器に興味があったので修理依頼を受けることにした。
現品を入手し温調器ユニットの電源の配線を確認したが2つの温調器にはAC電源が並列に接続されていた。仮配線で電源を入れてみたら、両方の温調器の表示がついた。
「あれっ? 事前に聞いていた話と、現品との挙動が違うゾ」
修理依頼品の温調システムの写真を図1に示す。
2つ温調器で構成されるユニットだが、非常にコンパクトに設計、製造されていた。小さすぎて、温調器の取り外しに苦戦するほどだった。
温調器にはそれぞれ「LINE」「VALVE」と機能名称を示すシールが貼られ、推測するに“配管の温度調整に使用される機器”のようだ。
なぜ、依頼主の不具合情報と、現品の動作が違っているのだろうか? 詳細に機器の接続を調べる必要がある。依頼主に温調器の回路図や説明書が手元にないか問い合わせたが、何も返答を得られなかった。
この温調器ユニットには温調器の他にソリッドステートリレー(SSR)やリレー、コネクターなどが実装されたプリント基板も搭載されていた。筆者は温調システムを何度も扱った経験があり、よく知っているつもりだ。この温調システムも、これまで扱ってきた温調システムと同じように、温度センサー(TC)で監視しながらSSRでヒーターを駆動し、別に設置された温度センサーが過昇温を感知するとリレーで電源を切ってシャットダウンを行う仕様と想定される。
温調ユニットの構成部品を外し、システム全体の接続図を書いてみた。図2に示す。
図2を作成するのに丸一日かかったのだが、なんとか温調システムの仕組みがほぼ理解できた。これで安心して温調器に通電することができる。
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