今回は、ロジック信号によって負電圧電源を素早くオン/オフするときに役立つ回路を紹介する。
ロジック信号によって負電圧電源を素早くオン/オフする必要があるときに、図1の回路が役立つ。「MIC4451」は本来、大電流MOSFETのゲート駆動用であるが、ここでは別の使い方をする。
相補型出力の低オン抵抗MOSFETスイッチとして、ロジック信号駆動により、システムの電源ラインの接続を負入力電圧とグラウンドに切り替えることができる。MIC4451は、わずかなヒステリシス特性を持つ入力バッファーと、最終的に大電流出力段を駆動するロジックインバーター/バッファー数個で構成されている。
図2は、MIC4451のブロックダイヤグラムである。出力部のnおよびpチャンネル素子のオン抵抗は約1Ω。それゆえ、出力は100mAの負荷を100 mV以内の電圧降下で負電圧電源に接続することができる。ロジック信号を反転させる必要がある場合は、非反転タイプのMIC4452を用いる。
図1は、MIC4451のTTLレベルへのインタフェースで、レベル変換にコモンベースpnpトランジスタを用いる。Q1のエミッタ電流の概略値は、IE=(VTTLH−VBE)/R1≒(2.4−0.65)/R(1VTTLHはTTLのハイレベル2.4V)である。IEはTTLの仕様に従って≦400μAとなるので、IE=(2.4−0.65)/R1≦400μAとなる。
R1について解くと、R1≧1.8V/400μA=4.5kΩが得られる。MIC4451のVIH(ハイ入力の最低許容値)ロジックレベル仕様は、2.4Vである。べース電流を無視してIC≒IEとすると、R2IC≧2.4Vとなる。MIC4451の入力電圧VIHは、グラウンド端子を基準に決められていることに注意されたい。R2は、R2=2.4V/IE=2.4V/0.4mA=6kΩ(最小)となる。
R1およびR2の実際の値は、上で計算したワーストケースの限界値よりも、若干高く選んでも問題ない。そこで、R1=5.1kΩ、R2=7.5kΩとする。誤差1%の抵抗器を用いれば、全温度範囲にわたってワーストケースのロジックレベルを保証することができる。
図3(a)と図3(b)は、TTL駆動の場合のオン/オフ時の状況である。立ち上がり/降下時間は、出力バイパス容量とMIC4451のオン抵抗によって決まる。
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