STマイクロエレクトロニクスは、電力効率、通信範囲、速度に優れた非接触通信機器の開発期間を短縮するNFCリーダーライターIC用開発ボード「ST25R3911B-DISCO」を発表した。NFCリーダーライターIC「ST25R3911B」と低消費電力32ビットマイコン「STM32L476RE」を統合。販売価格は49米ドルだ。
STマイクロエレクトロニクスは2017年3月27日、NFCリーダーライターIC「ST25R3911B」と低消費電力32ビットマイコン「STM32L476RE」を組み合わせた開発ボード「ST25R3911B-DISCO」を発表した。このNFCリーダーライターIC用開発ボードを活用することで、電力効率、通信範囲、速度に優れた非接触通信機器の開発期間が短縮できるという。
同製品の中核を成すのはST25R3911Bだ。このNFCリーダーライターICは、通信時の消費電力を必要最小限に抑え電力損失を防ぐ「Dynamic Power Output」などの機能を備え、携帯機器や決済端末の消費電力を最適化する。また、静電容量方式ウェイクアップにより、電流が5μA未満のスリープモード時でもカードを検知し、ホテルのカードキーリーダーライターなどの機器でバッテリーを長持ちさせる。電磁誘導方式ウェイクアップにも対応している。
ST25R3911Bの受信感度は一般的な製品の約5倍。通信範囲はアンプの追加なしで最大1.4Wの出力で拡大できる。最終製品のアンテナ設定は自動アンテナチューニング(AAT:Automatic Antenna Tuning)により、製造工程で効率的に微調整することが可能。超高速伝送速度(VHBR:Very High Bit Rate)を1チップで実現したため、リーダーライターダウンロード速度は848kビット/秒から6.8Mビット/秒まで高速化できる。ISO 18092(NFCIP-1)Active P2P、ISO14443A、ISO14443B、FeliCa、ISO 15693など、非接触通信やRFIDの全ての主要規格に準拠した。
一方、低消費電力マイコンのSTM32L476REは、ARM Cortex-M4プロセッサ(80MHz)にDSP拡張機能と浮動小数点ユニットを集積。FlexPowerControlによるスマートアーキテクチャ、動的な電圧調整機能であるDynamic Voltage Scaling、7種のパワーマネジメントモードなどを備え、消費電力を大幅に削減する。また、内蔵のメモリ保護ユニットにより、アプリケーションのセキュリティを強化する。
ST25R3911B-DISCOはRF回路レイアウトのレファレンス設計となっており、同梱のSTM32マイコン用ソフトウェアを使えば、HFリーダーライターやNFCリーダーライターとしてすぐに使用できる。NFCリーダーライターICとマイコンの機能に加え、サンプルコード、IPブロック、拡張ボードといったSTM32の開発エコシステムの利用も可能だ。販売価格は49米ドルとなる。
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