半導体製造装置に使用されている制御用PCの修理が舞い込んだ。「電源が入らない」という症状だったので電源の不良を疑ったが、CPU基板に故障原因があった……。今回から2回にわたり、制御用PCの修理の様子を報告しよう。
半導体製造現場で使用されている小型の制御用PCの修理依頼があった。『電源が入らない』という症状らしく、「ATX電源不良」が故障原因だろう。PCの修理の経験は少ないのだが、ATX電源の修理は経験があるので、修理を引き受けることにした。今回は制御用PCの修理を報告する。修理するPCの内部を図1に示す。
図1のように、カードラックには4枚の基板が実装されている。一番上の基板がCPU基板だ。電源はカードラックの外に置かれていたが、マザーボードのATX電源用コネクターに電源は接続されていなかった。使用されている電源の型名は「P1U-6150」だった。図2に示す。
電源にAC100Vを通電するとカードラックの電源表示は点灯したがすぐに消灯した。電源不良と思われたので、実装されていた電源のP1U-6150をPCから外して単体で確認した。電源のDC出力のコネクターはATX電源用のコネクターではなかった。電源の型名をWeb検索してみると、ATX電源ではなくAT1電源だった。AT1電源はATX電源の前のPC電源で外部からのオン/オフ制御がない電源だった。
P1U-6150の電源に単体でAC100Vを通電したらDC電圧が出力された。出力電力を確認したら、無負荷で8.8Wで、出力電圧の配線は、以下の通りだった。
配線色 | 信号 | 測定値(電圧) |
---|---|---|
赤 | +5V | +5.23V |
白 | −5V | −5.51V |
黄 | +12V | +11.71V |
青 | −12V | −11.48V |
橙 | 5VSB | +5.23V |
上記の通り、3.3V出力はなかった。なおATX電源の橙線は3.3Vなので、AT1とATXでは、配線色の使い方が違っている。
電源の出力は正常だったが、念のためケースから電源の基板を取り出し内部を確認してみた。電源は構造が2階建てでかなり混んだ実装だった。また全てのコネクターが接着剤で固定してあった。電源入力のコネクターにも接着剤が付いており、コネクターのピンにも接着剤が付着して、接触不良が懸念された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.