今回の記事では、DC-DCコンバーターのレギュレーションとリモートセンスについて解説します。
現在使われているDC-DCコンバーターの多くはユニポーラタイプのもので、得られる出力電圧は1つだけです。既に述べたようにこの出力電圧の制御はシンプルで、必要とされるのはエラーアンプ用の帰還経路だけです。
極性が逆の対称出力電圧が2つ得られるバイポーラDC-DCコンバーターでは、利用できる帰還ループが1つだけなので、ある程度の妥協が必要です。正の出力と負の負荷が単純にバランスしている場合は、両方を結合させた出力電圧に対してレギュレーションを行うことで、制御の問題をユニポーラトランスのレベルまで削減することができます。図1にその原理を示します。
例えば±12V出力のコンバーターは、実際には共通の「浮動点」を中心にして24Vの結合出力だけに対してレギュレーションを行います。これは、両者の合計は常に一定で、DC-DCコンバーター上の負荷がバランスしていない場合は、共通レファレンス電圧(コモン)が各行程の異なる電圧降下に応じて、つまりは異なる電流ストレスに応じて移動することを意味します。これにより、共通レファレンスに対して異なる±VOUT電圧が生じます。例えば、±12V出力のコンバーターの正出力に100%の負荷がかかり、負の出力に25%の負荷がかかっている場合、結合電圧が厳密に24Vにレギュレーションされているとしても、測定される出力は共通ピンに対して+13Vと−11Vになります。
実用的ヒント
ユーザーは、そのアプリケーションに許容される非対称性あるいは不正確さが、どの程度なのかを確認する必要があります。多くのバイポーラアプリケーションはアナログ回路に使われています。よって、良好なPSSR(電源電圧変動除去比)の回路設計が望まれます。著しい非対称負荷の場合は、ダミー負荷の追加やポストレギュレーションによって、出力電圧のバランスを取り直さなければならないことがあります。
同極性の出力電圧を2つ持つデュアル出力DC-DCコンバーターの場合、出力の合計に従ってレギュレーションを行うという単純なテクニックが役に立たないこともあります。
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