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オシロのジッタを伝送ラインループで校正Design Ideas 計測とテスト(1/2 ページ)

オシロスコープを使ってパルス発生器のジッタを正確に計測するには、計測したジッタからオシロスコープ自身のジッタを取り除く必要がある。しかし、通常オシロスコープにはジッタの仕様値が規定されていないため、その値を実際に計測する必要がある。そこで、本稿ではジッタがほとんどゼロと見なせる校正信号の出力回路を紹介する。

» 2018年03月19日 11時00分 公開
[EDN Japan]

ジッタがほとんどゼロと見なせる校正信号の出力回路

 デジタルクロック信号のジッタとは、多数のクロック信号の平均周期に対する変動分のことを指す。オシロスコープを使ってパルス発生器のジッタを正確に計測するには、計測したジッタからオシロスコープ自身のジッタを取り除く必要がある。しかし、通常オシロスコープにはジッタの仕様値が規定されていない。このため、その値を実際に計測する必要がある。

 オシロスコープのジッタを計測する方法の1つに、ジッタの値があらかじめわかっているパルス発生器の出力信号を計測する手法がある。ガウス分布を仮定すると計測したジッタは

で表現できる。この式をオシロスコープのジッタについて解くと、

と求まる。

 この式から分かることは、オシロスコープのジッタを計測するには、ジッタがゼロのパルス発生器を使用することが理想的ということだ。図1に示す回路は、ジッタがほとんどゼロと見なせる校正信号の出力回路である。伝送ラインを使った遅延ループを使って、オシロスコープに供給する遅延パルスを生成する。遅延パルスは、伝送ラインで構成した遅延ループを通過してきた遅延成分である。

図1:遅延ループを使ってオシロスコープのジッタを測定
遅延ループは、2本の50Ω同軸ケーブルとBNCタイプのT型アダプターを使って構成する。

 オシロスコープは、最初のパルスに対して内部トリガーをかけて、最初のパルス信号と遅延パルスの間の時間を測定するように設定する。このとき、トリガーのホールドオフ時間を適当に設定して、常に最初のパルスにトリガーがかかるようにすることが必要だ。

 この回路は、2本の50Ω同軸ケーブルと2個のBNCタイプのT型アダプターを使うことで実現できる。50Ω出力のパルス発生器と50Ω入力のオシロスコープを接続するケーブルの長さは自由である。一方、遅延ループ・ラインの長さは重要で、これが最初のパルスと2つ目のパルスとの遅延時間を決めることになる。パルス発生器が出力する信号の周期は、ループによる遅延時間の約5倍、パルス幅は遅延時間の約半分に設定する。

 今回設定した値は、周期が62ナノ秒、パルス幅が6ナノ秒である。遅延ループにはケーブル長が2.4mの同軸ケーブル「RG-58」を使った。この結果、最初のパルスの13ナノ秒後に遅延パルスが発生する。これはジッタがゼロの77MHzの信号と等価になる。これを使ってオシロスコープを校正する。

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