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低抵抗測定で熱電対による雑音を取り除くDesign Ideas 計測とテスト(2/2 ページ)

» 2018年04月09日 11時00分 公開
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異なる位相で計測した測定値から熱起電力を相殺

 図1と図2には、異なる位相での電流の流れを示した。位相1(正相)では、励起電流はIOUT1から流れ出し、RLOWを通り、さらにQ2からRREFを通って接地に流れる(図1)。位相2(逆相)では、励起電流はIOUT2から流れ出し、RLOWを通り、さらにQ1からRREFを通って接地に流れる(図2)。

図2:低い抵抗値を有する抵抗器の測定回路 (クリックで拡大)
励起電流は抵抗器RLOWの下から上へと流れる。

 位相1では、

である。続いて電流源を切り替えた位相2では、

である。ソフトウェアで2つの測定値を組み合わせると、熱起電力を相殺でき、

 が得られる。

 最後に、この相対比較測定値を絶対測定値に変換する必要がある。そのために、「未知」の相対比較用基準電圧を用いて、既知の電圧を測定する。未知の基準に基づいてこの既知の電圧を読み取れば、未知の基準電圧を推定でき、ピンAIN1およびAIN2上の電位差VDIFFの絶対値を推定できる。

 ADR420のような基準電圧源を用いれば、2.048Vという既知の電圧を供給できる。これを差動入力のもう1つのペアAIN3およびAIN4に接続し、24ビットA-D変換器のメインチャンネルに導く。

Design Ideas〜回路設計アイデア集

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。

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