GaNトランジスタの出現がもたらしたスイッチング速度の高速化に伴って、優れた測定技術、それとともに高速波形の重要特性を細部まで把握する技術が不可欠になっている。本稿では、測定機器をどのように活用すれば、ユーザーの要求条件および測定技術に適合し、高性能GaNトランジスタを正確に評価することができるかを考察する。
GaNトランジスタの出現がもたらしたスイッチング速度の高速化に伴って、優れた測定技術、それとともに高速波形の重要特性を細部まで把握する技術が不可欠になっている。本稿では、測定機器をどのように活用すれば、ユーザーの要求条件および測定技術に適合し、高性能GaNトランジスタを正確に評価することができるかを考察する。また、非グラウンド基準(非接地)波形を測定するための高帯域幅差動プローブの評価も行う。
さまざまなタイプのGaNパワーデバイスを測定するに必要な技術と要求条件を例示するために、下記のEPC eGaN FET(EPC製エンハンスメントモードGaN FET)ベースの回路を検討する。
(i)高速、10MHzスイッチング周波数、65V(ドレイン‐ソース間電圧) eGaN FETのEPC8009(図1のQ1とQ2)をベースとするハーフブリッジボード
(ii)低速、500KHzスイッチング周波数のEPC9080ハーフブリッジ評価ボード(デモボード)。これはトップ側スイッチ(Q1)に100V eGaN FETのEPC2045およびボトム側スイッチ(Q2)に100V EPC2022を使用。
両方のボードはともに図1に示すように、高圧コンバーターとして動作するよう構成されている。
オシロスコープとプローブシステムの組合せによる利用可能最大帯域幅は、文献[1]に示されている。
ここで、BW−3dB、BW−3dB, scopeおよびBW−3dB, probeは、それぞれシステム、オシロスコープおよびプローブの帯域幅(Hz単位)に対応する。本稿では、2GHzオシロスコープ(Tektronixの「MSO 5204」)を使用している。パッシブプローブ(Tektronix「TPP1000」)は最大帯域幅が1GHzとなっている。オシロスコープとプローブの帯域幅のうち小さい方の値(この場合は1GHz)が、システム帯域幅に対して、より大きな影響を与える。
PCBボードのレイアウト設計を評価する場合、代表的な測定項目には、立ち上がりと降下時間、ピークオーバーシュート/アンダーシュートおよびスイッチノード立ち上がりエッジのリンギング周波数の予測値などが含まれる。なお、予測値は、次のリンギング周波数式から推定可能となっている。
上記の式(2)において、Lloopは高周波用デカップリング容量、eGaN FET(Q1とQ2)および、搭載部品のPCB接続パターンから形成される、高周波ループインダクタンスを意味している。
Co2=Coss+Cparは、ボトムサイドFET Q2のQ2ブロッキング電圧における出力容量Coss、スイッチノードでの浮遊容量とプローブのキャパシタンスに相当するCparという意味だ。Lloopは、本稿の検討に使用するデモボードの場合、およそ200〜300pHと推定される[2]。
CossはEPC8009のテスト電圧での値30PF[3]、またCparは本ボードの場合で約10pFだ。これらの値から、リンギング周波数fr1は約1.6GHzになる。キャパシタンスの大きいEPC2045およびEPC2022ベースの設計では、fr2は約0.44GHzと推定される。
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