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どう熱を制するか ―― 車載デュアルUSBチャージャー考察電源設計(2/3 ページ)

» 2019年10月09日 11時00分 公開

サイズの問題

図3:標準的なチャージャーのチャージャーICと保護IC

 小型サイズの鍵は、高レベルの集積です。図3は標準的なソリューションを示しており、チャージャー制御と電力トレーンは内蔵しているものの、バッテリーへの短絡および、VBUSへの短絡を防ぐために2つの外付けTVSが必要です。そのため、チャージャーICが占める面積はわずか25mm2ですが、TVSの面積を加えると総アクティブ占有面積は45mm2に増大します。

 残りの受動部品を加えると、PCB側占有面積は333mm2に達します。明らかに、PCBサイズを最小化するにはより高レベルの集積が必要です。

高集積ソリューション

 1つの例として、車載充電アプリケーション用に設計された車載グレード、小型実装面積デュアルポートチャージャーIC(MAX20047、図4)を挙げます。このデバイスは完全同期整流6Aステップダウンバックコンバーターと内蔵ハイサイドおよびローサイドFETを組み合わせ、3.5〜36Vの入力電圧で動作して5.2Vの出力電圧を提供します。このICは、iPod/iPhone 1.0A、iPad 2.1AおよびiPad 2.4A専用充電モードを内蔵しています。また、このデバイスはApple、USB-IF DCP、中国のYD/T 1591-2009およびSamsung 1.2Vなどの複数のモード間の自動的な遷移にも対応し、すべての機器で高速充電を実現します。

 保護対象のHVBUS出力のグランドへの短絡保護および、過電流保護も提供され、内部BUS電源レールを過電流フォルトから保護します。このICは最大+18Vのバッテリーへの短絡保護も提供し、EMI低減のためのスペクトラム拡散動作を備えたバージョンも注文可能です。バックコンバーターのスイッチング周波数は0.4MHz〜2.2MHzに設定可能です。このICはISO 10605およびIEC 61000-4-2 ESD規格に沿って試験済みです。

図4:高集積ソリューションのブロック図

 この高集積ICは、チャージャーおよび保護を先ほどの例のほぼ3分の1に相当するわずか17.5mm2の面積に内蔵することに成功しています。

 残りの受動部品を含めると、総PCB面積はわずか170mm2で、先ほど説明した例の約半分です。

より高い効率

 このICは、内蔵スイッチを介してポート当り高効率(図5)で最大3Aの充電電流を供給し、設定可能な電流制限とサーマルフォールドバック制御を備えています。

図5:高効率のグラフ

 このICは6Aでの効率が93%で、前述の標準的な例に対して2%の効率の優位性を備えています。

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