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マイコンに搭載されているLCDドライバ/コントローラーの仕組みQ&Aで学ぶマイコン講座(57)(3/4 ページ)

» 2020年08月03日 11時00分 公開

電源回路(アナログステップアップコンバーター)

 STM32L4シリーズは、LCD用のステップアップコンバーターを内蔵しているため、内部電源からLCD用電圧VLCDを生成することができます。外部から入力することも可能です。

 1/4VLCD、1/3VLCD、1/2VLCDなどの中間電位は、内蔵抵抗による分圧で得られます。

図6:電源回路の分圧抵抗
   STM32L4シリーズのトレーニング資料から引用 (会員登録が必要です)

 内蔵抵抗は、図6に示すようなネットワーク構造になっています。抵抗ネットワークは、駆動能力の高い低値抵抗を6個直列に接続したRLN抵抗群と、低ドライブ機能用の高値抵抗を6個直列に接続したRHN抵抗群で構成されています。各抵抗はスイッチで切り離したり、接続したりすることができます。

 例えば1/3バイアスで使用する場合にはbias1/4とbias1/2をオフ、bias1/3をオンにすることで、VLCD、2/3VLCD、1/3VLCDを得ることができます。1/2バイアス1/4バイアスの場合も、相当するスイッチをオンにすることで必要な中間電位を得ることができます。

 容量(表示画面)の大きいLCDを駆動する場合は、RLN抵抗群とRHN抵抗群を並列に接続することでドライブ能力を上げて使用することができます。一方で、容量の小さいLCDを駆動する場合はRHN抵抗群だけを使用して、消費電力を抑えられます。

 さらに駆動能力を上げたい場合は、ボルテージフォロアータイプのバッファーを使えます。

コントラストの調整

 画質のコントラストの調整方法を説明します。STM32L4シリーズのLCDドライバ/コントローラーにはコントラスト調整機能が付いています。方法は2通りあります。

<方法1>

 直接VLCDの電圧を変化させてコントラストを調整します。前述したステップアップコンバーターは、8つのステップのVLCD 2.6V〜3.6Vの電圧をソフトウェアで調整できるため、実際のLCDの表示を確認しながら調整できます。

<方法2>

 SEG信号とCOM信号の出力時間を変化させてコントラストを調整します。COM信号とSEG信号の間のデッドタイム(最大8つのフェーズ期間)をソフトウェアで挿入させて、コントラストを調整します。デッドタイムとは、信号出力を停止させる期間です。デッドタイム期間が長くなるにつれて、コントラストは低くなります。

図7:コントラスト調整機能(デッドタイム挿入)
   STM32L4シリーズのトレーニング資料から引用 (会員登録が必要です)

GPIO(汎用IO)とSEG/COM端子の切り替え

 LCDを使用する場合、GPIOはSEG端子またはCOM端子に切り替わります。SEG信号とCOM信号は中間電位を出力するアナログ信号であるため、GPIOはアナログ出力モードになります。IOポートにはアナログスイッチアレイがあり、出力するSEG信号とCOM信号を選択します(図8)

図8:GPIOとSEG/COM端子の切り替え (クリックで拡大)
   ブロック図は、STM32L4シリーズのリファレンスマニュアルから引用

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