LCDは電極付きガラス板で液晶を挟む構造になっているため、電気的特性はコンデンサーと同じと考えられます。表示の大きいLCDでは大容量のコンデンサー、小さいLCDでは小容量のコンデンサーをドライブすると考えられるため、LCDを選択する際や問題が発生した場合に、コンデンサーの等価回路で電気的特性を扱うことができます。
マイコンに搭載されているLCDドライバ/コントローラーを使用する時の注意点には次のようなものがあります。
STM32L4シリーズでは、前述したような方法でコントラストを調整できます。その他のマイコンでは、ソフトウェアや外付けハードウェアで同等の対策を施します。
デューティ比を1/2→1/3→1/4→1/8のように短くすると、ちらつきが目立つようになります。その場合はデューティ比を長くして対策します。
表示の大きなLCDの場合、大きなコンデンサーをドライブすると考えられるため、デューティ比が小さいと十分にドライブできません。そのためLCDにピーク電圧が印加されなくなり、ちらつきの原因になります。
表示の小さいLCDでも、1/4や1/8の場合1つのLCDセグメントのドライブ期間が短いため、ちらつきが目立つことがあります。
デューティ比を大きくしてもLCDを十分にドライブできない場合、LCDにピーク電圧が印加されなくなり、表示が薄くなることがあります。
STM32L4シリーズでは、電源回路内の抵抗ネットワークでRLN抵抗群とRHN抵抗群を同時に使用することで、ドライブ能力を上げられます。
その他のマイコンの場合は、外付けハードウェアで同等の対策を施します。例えば、中間電位を外部から入力できる構造のマイコンであれば、外部電源を使用したり、外部抵抗を接続したりすることで、ドライブ能力を上げることができます。
セグメントにむらが発生する原因は、分圧された電圧のバラツキが考えられます。例として、1/3バイアスで使用した場合の電源回路の分圧抵抗の電圧と各抵抗に流れる電流について考えます(図9)
VLCDから直列抵抗R1〜R6を経由してGND(VSS)に流れ込む電流Imは常に発生します。2/3VLCDの電圧のラインにはI2が流れ、1/3VLCDの電圧のラインにはI1が流れます。I2は2/3VLCDがLCDに印加されたときに流れ出る電流です。I1は1/3VLCDがLCDに印加されたときに流れ出る電流です。従って、大きな表示のLCDならば大きな電流値になり、小さい表示のLCDならば小さい値になります。具体的な電流値はLCDの特性に依存します。
R1+R2に着目すると、R1+R2に流れる電流はIm+I2+I1です。同じように、R3+R4に流れる電流はIm+I1です。また、R5+R6に流れる電流はImです。R1〜R6は同じ抵抗値であるため、R1+R2の電位差、R3+R4の電位差およびR5+R6の電位差はそれぞれ異なることになります。これによVLCDを1/3に分圧した各電位差にバラツキが生じ、セグメントのむらとなって見えてきます。ImがI2やI1に比べて非常に大きければ、各電位差のバラツキは比率的に小さくなるのでセグメントのむらも小さくなりますが、ImがI2やI1に比べて小さければ、むらは大きくなります。
ImはRLNとRHNによって決まっているので、ユーザーはImに比べてI2とI1が小さくなるようなLCDを選ぶ必要があります。先ほども述べたように、LCDはコンデンサーと等価と考えることができ、静電容量の小さいLCDを選ぶことでむらが目立たないようにすることができます。
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