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直流電子負荷装置の用途と安心して使うためのポイント直流電子負荷の基礎知識(3)(1/5 ページ)

直流電子負荷装置の用途を具体的な利用事例を示しながら解説するとともに、直流電子負荷装置を安心して使うためのポイントを紹介する。

» 2021年06月24日 11時00分 公開
[TechEyesOnline]
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 本記事は、計測器専門の情報サイト「TechEyesOnline」から転載しています。

直流電子負荷装置の用途

 直流電子負荷装置は主にスイッチング電源、DC-DCコンバーター、電池などの直流電源の評価に使われる。ここでは具体的な利用事例を示す。

スイッチング電源の試験

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 スイッチング電源は電子情報技術産業協会(JEITA)規格(RC-9131D)に従って試験されることが多い。試験の多くの項目では直流負荷装置が必要になる。

 図1には基本的なスイッチング電源の試験環境を示す。交流電源装置は安定した周波数と振幅の交流を供給するため、電力計は主にスイッチング電源の消費電力を測定するためのもの。直流電子負荷装置は任意の負荷レベルの設定や、スイッチング電源の端子電圧や出力電流測定のためにある。

 JEITA規格に定められたリップルノイズ測定ができる直流電子負荷装置を使用した場合はオシロスコープでの目視によるノイズ波形観測は不要になり、測定値を直流電子負荷装置の画面から直接読み取ることができる。また生産ラインでは良否判定を直流電子負荷装置で行えるため生産タクトタイムの削減が可能になる。

 オシロスコープはスイッチング電源の入力の突入電流や出力の立ち上がり時間、立ち下がり時間、保持時間、遅延時間、起動時間を測定するのに使う。

図1:スイッチング電源の評価

 スイッチング電源の量産ラインでは効率的に検査をしなければならないため、自動試験装置が使われている。

図2:スイッチング電源の自動試験装置(PW-5000) 写真提供:計測技術研究所

【ミニ解説】電子情報技術産業協会(JEITA)が規定するスイッチング電源の試験

 電子情報技術産業協会(JEITA)は電子機器や電子部品の業界規格を作り公開している。スイッチング電源について8つの規格が定められていて、評価試験の方法については「スイッチング電源試験方法(AC-DC)RC-9131D」と「スイッチング電源試験方法(DC-DC)RC-9141B」が定められている。この2つの規格はJEITAのWebページから閲覧ができる。規格書のダウンロードはできないが、有料で規格書は販売されている。規格は何度か改定されていて最新の規格は2019年3月版である。

 JEITAが定める試験の基本構成図は規格書に掲載されている。実際の試験環境を構築するには試験項目ごとに必要な測定器を用意する必要がある。下記に必要な測定器の具体例を示す。

RC-9131D規格書試験回路図番 試験に使用する測定器例
プログラマブル交流電源 直流電子負荷 デジタルマルチメ|タ| オシロスコ|プ 直流/交流電流プロ|ブ 直流/交流電力計 シャント抵抗器 リップルノイズメ|タ| ファンクションジェネレ|タ| スペクトラムアナライザ| 絶縁トランス 疑似電源回路網(LISN) タ|ンテ|ブル アンテナ 恒温槽 温度計 絶縁抵抗計 耐電圧試験機 雷サ|ジ試験器 静電気試験器 漏れ電流計 バ|スト試験器
力率 図1  
効率 図1  
高調波電流 図2  
突入電流 図3  
出力電圧可変範囲 図4  
非独立制御設定許容値 図4  
静的入力変動 図4  
静的負荷変動 図4  
静的相互負荷変動 図4  
周囲温度変動 図5  
初期ドリフト 図4  
経時ドリフト 図4  
動的入力変動 図6  
動的負荷変動 図8  
回復時間 図6  
図8  
リップル電圧 図10  
ノイズ電圧 図10  
リップルノイズ電圧 図10  
過電流保護 図4  
過電圧保護 図10  
リモートON/OFF コントロール 図12  
リモートセンシング 図13  
絶縁抵抗  
耐電圧  
雷サージ電圧  
静電気放電試験 図15  
遅延時間 図16  
立ち上がり時間(tr) 図16  
出力保持時間(th) 図16  
立ち下がり時間(tf) 図16  
起動時間(ts) 図16  
瞬停保証時間 図18  
出力インピーダンス 図19  
接触電流(漏えい電流) 図20  
入力雑音電圧耐量
雑音端子電圧  
雑音電界強度  
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