以前、300Wヒートガンを使用して表面実装部品を取り外す方法を紹介した。ただ、ヒートガンは連続使用するといろいろ不具合が生じる欠点があった。そこで、プレヒーターを自作して、ヒートガンの使用時間を短縮するように試みた。今回は、その様子を報告していこう。
以前掲載した300Wのヒートガンを使って表面実装部品を外す記事(=基板にダメージを与えず、簡単に表面実装部品を外す方法)を読んで、実践している友人から連絡があった。
「ベタアースの基板では表面実装部品の取り外すとヒートガンの加熱時間が2分くらいかかり連続でヒートガンを使ったら、ヒートガンのケースが熱で溶けてしまった」ということだった。その友人に送ってもらったカバーが変形した300Wヒートガンの写真を図1に示す。
ヒートガンを連続で使いすぎると内部温度が上がり過ぎて、プラスティックのカバーが変形した。また別の友人から『先端を細くして1分ほど連続でヒートガンを使ったら電源が切れた』という報告もあった。電源が切れたヒートガンを分解すると、内部にサーモスタットが追加されていた。図2に示す。
サーモスタット(図2中央)が追加され、300Wヒートガンに安全対策が施されている。
ヒートガンのカバーが変形したり、作業途中で電源が切れたりする原因は表面実装部品を外すのに時間がかかり過ぎるからだ。両面基板では1分弱で外せるが熱容量が大きい基板はもっと長い。両面基板でも簡単に表面実装部品を外す方法はないかを考えた。考えた末、思いついたアイデアは「基板をプレヒートすれば良い」というものだった。そこで簡単なプレヒーターを作ることにした。
まずはWebでヒーターを探した。見つかったヒーターは小型で12V/220℃だった。価格は2個送料込みで380円だったので、すぐに購入した。ヒーターに接続する12V電源は50Wの修理品を流用した。図3にプレヒーターと12V電源の写真を示す。
図3左の上側にあるのが220℃の小型ヒーターだ。これを図3左下の金属板に取り付けた。図3右はDC12V/50Wの電源だ。ヒーターに通電すると30秒後に電力が50Wを超えたが、1分30秒ほどで40Wになり温度が安定した。断熱のためプレーヒーターに木材の板を取り付けた。また持ち運びやすく、使いやすいように梱包箱にも入れた。図4に示す。
図4左がプレヒーターの入った梱包箱だ。箱の高さとプレヒーターの高さを合わせた。
プレヒーターの下に見える穴開きの装置が12V電源だ。図4右はワットメーターでプレヒーターの消費電流を測定した様子だ。温度上昇時には60W近くになるが、温度安定後には40W程度になった。
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