本記事では、マイコンにストレスを与え続けて動作させた場合、どのような不良現象が現れるかを2回にわたり詳しく解説する。第2回となる今回は、前回まとめた「不良現象のメカニズム」の各項目について詳しく解説する。
第1回に引き続き、マイコンに仕様を超えるストレスを与え続けて動作させた場合、またはその状態で放置した場合にどのような不良現象が現れるかを解説する。
今回は、前回まとめた「不良現象のメカニズム」の各項目について詳しく解説する。ただし、マイコンの信頼性に関しては社外秘の情報が含まれる場合が多いので、あくまで一般論として解説する。
なお、本記事で対象とするマイコンは、あくまで正常に製造され、製造/試験工程などにおいて不良の作り込みが無いものである。マイコンの不良現象についての記事ではあるが、不良品を対象にしたものではない。
最初に、第1回で掲載したマイコンの不良現象のメカニズムをまとめた表を表1(a)(b)として再掲する。
これらの表に沿って、各メカニズムについて詳細に解説する。
MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:以下MOS)を構成するPN接合(図1参照)が劣化すると、MOSが正常に動作しなくなり、マイコンの誤動作の原因になる。劣化とは、短絡(=ショート、抵抗値減少も含む)および開放(=オープン、抵抗増大も含む)を指し、MOSのスイッチング動作に支障を来すと、論理動作で誤動作を起こし、オン抵抗などが変動すると、A-Dコンバーターなどのアナログ動作が異常になる。
一度劣化したPN接合は、二度と正常には戻らない。
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