知人から7.5kWのインバーターの修理依頼があった。不具合の詳細は不明だったが、内部にエラー履歴も残っているだろうし、現場の情報が入りやすい依頼者なので引き受けることにした。
知人から7.5kWのインバーターの修理依頼があった。どのような不具合かと聞くと『機器が動作しない』との回答だけだった。情報があまりに乏しいが、インバーターは多数、修理した経験がある。内部にエラー履歴も残っているだろうし、現場の情報が入りやすい依頼者なので引き受けることにした。
現品を受領して、テスターのダイオードモードで、インバーターの整流モジュールとIGBTモジュールに搭載されているダイオードの動作を確認した。整流モジュールは問題なかったが、IGBTモジュールに問題があった。図1に示す。
図1左は電源の+端子とモーター駆動のU端子をテスターで測定したものだ。U端子と電源+端子が短絡していた。これでは駆動開始時に電源電圧が短絡され、過電流エラーが出て動作が停止するだろう。7.5kWのドライバーでこの不具合は珍しい。図1右はIGBTモジュールの回路図だ。内部にある6個の保護ダイオードの確認で良否を判断できる。おそらくIGBTの過熱破損だろう。なぜIGBTが破損したのかを確認するためインバーターを分解した。図2に示す。
図2左はインバーターのファンの部分だ。汚れが付着し、指で触るとぬるぬるしている。油が混ざった異物だった。図2右が取り出したファンだ。異物が付着し手で回してもファンは回転しなかった。よく見るとファンの壁面にも厚く異物が付着しており、回転羽の先端にも異物が付着していた。ファンに付着した油と異物を洗浄して24V電源を通電したら、ファンは正常に回転した。インバーターが動作不良になった原因は、油が混ざった異物が厚く蓄積したことでファンが回らなくなり、IGBTが過熱したことにあった。ファンの配線は2本のみで回転状態を検知するセンサーは付いていなかった。
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