抵抗から出力された回路が直接マイコンの端子につながっていて、DACの出力端子になることがありますが、その場合、出力電圧によって抵抗の組み合わせが変わるため、出力インピーダンスも変わります。場合によっては、駆動能力が低くなる場合があります。そのため、駆動能力の向上や、出力インピーダンスを一定にするために、出力端に増幅アンプをバッファーとしてつなげる場合があります。
図3に、オペアンプのボルテージフォロアー回路を使った例を示します。しかし、出力段にオペアンプのようなアナログ回路を使用するとアナログ回路のゲイン(フルスケール)誤差やオフセット誤差が発生し、0Vや基準電圧の値を正しく出力できなくなります。
STM32L5シリーズの場合は、「DAC出力バッファー」と呼ばれており、出力バッファーを有効にするには、DAC_MCRレジスタのMODEx[2:0]ビットを規定値にセットする必要があります。さらに、較正機能が付いています。出荷時に較正されていますが、ユーザーがソフトウェアで調整することも可能です。
また、DACを使用する際のゲイン誤差とオフセット誤差はデータシートに記載されています(図4(a))
出力の最低電圧は0.2Vなので、0.2Vのオフセットがあることが分かります。また、最大出力は「(VREF+)-0.2V」なので、ゲイン誤差は-0.2Vであることが分かります。
出力バッファーをつないだからといって、全ての負荷をドライブできるわけではありません。負荷の構成(図4(b))と特性値(図4(a))もデータシートに記載されているので、実際にDACにつなげる負荷の参考にします。
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