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ステップダウン形DC/DCコンバーターの設計(1)たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(3)(2/3 ページ)

» 2023年11月27日 11時00分 公開

2. コンバーターの動作解析

状態の平衡-1
 図3を基に平衡状態にあるDC/DCコンバーターの動作条件を考えます。この平衡状態とはある程度の周期で見た場合に状態が安定していることを意味します。
 DC/DCコンバーターが一定の電圧を維持でき、持続可能な動作状態にあるということは1式の電流変化と2式の電流変化が等しいことを意味します。この値をΔIとすれば両式の関係は3式になります。

3式

 この3式をV(out)について解くと電圧変換の様子を表す4式が得られます。

4式

 δはオン時比率であり、1以下ですからステップダウンコンバーターはもともとの電源Vccの電圧Vを越えることはできません。

注)4式では電圧の様子は分かっても負荷電流の様子は分かりません。

状態の平衡-2
 ここでも再び図3を基に平衡状態にあるDC/DCコンバーターの動作条件を考えます。
 チョークLに流れる電流ILの変化は
①オン期間中はΔI(ON)が流れ
②オフ期間中はΔI(OFF)が流れます。

 前記で説明したように、この状態が定常的に繰り返されますのでΔI(ON)=ΔI(OFF)=ΔIなのですがこの式はチョーク電流ILの変化量(波形のテーパー部)だけを表しているに過ぎません。
 図2(a)(b)の電流経路図からも分かるようにΔI(ON)やΔI(OFF)はキャパシターCに蓄積された後に平均化されて負荷電流IOとして負荷抵抗RLに流れて消費されます。
 「平均化される」という意味は1周期を通じて平均化されることを指し、この平均電流をI(AVE)とすればI(AVE)は変化分ΔIではなく、オン期間中の平均値やオフ期間中の平均値、そして負荷RLに流れる電流IOと等しくなります。
 したがってIOはI(ON)、I(OFF)をそれぞれの期間の電流Iの関数値として5式で表すことができます。

5式

 電流変化分ΔI(ON)、ΔI(OFF)はLの式(ΔI=(E/L)・Δt)から分かるように共に時間的に直線変化しますのでΔIの中点(図式中点)が平均値IOと交差します。
 したがってチョーク電流ILはIOを中心にして(IO−ΔI/2)〜(IO+ΔI/2)まで変化することになります。ですからチョークLは最大の電流(IO+ΔI/2)でも磁気特性を失わないようにする必要があります。IOチョークLが磁気特性を失わない最大の電流を飽和電流I(sat)と言い、I(sat)は(IO+ΔI/2)よりも大きくする必要があります(satはsaturation 飽和の略号)。このIOとしては負荷電流の最大値だけではなく、負荷の短絡保護回路が動作する時のバラツキも含みます。

図3:ステップダウン形DC/DCコンバーターの電流図

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