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Bluetooth新機能「Auracast」を旧世代スマホで使う方法とは?アシスタントアプリの開発方法を解説(1/4 ページ)

現在、Bluetooth の最新機能「Auracast ブロードキャスト オーディオ」の普及に向けた動きが加速し、対応するデバイスも続々と開発されています。一方、Auracast非対応の旧世代スマートフォンが市場拡大を妨げています。本稿では、その理由と、解決策となるスタンドアロン型Auracastアシスタントアプリ開発について解説します。

» 2024年09月09日 11時00分 公開

「LE Audio」と「Auracast ブロードキャスト オーディオ」

 Bluetooth SIGは2022年、20年以上にも及ぶ開発の成果として、最新のオーディオ規格「LE Audio」を公開しました。そのオーディオブロードキャスト機能を担うのが、「Auracast ブロードキャスト オーディオ(以下、Auracast)」です。

 Auracastの特徴は、1対多のブロードキャストによるオーディオ共有が可能になった点にあります。これまでBluetoothオーディオでは、スマートフォンなどの音源機器と、イヤフォンなどの受信機を1対1でペアリングする接続方法に限られていました。しかし、 Auracastでは、1台のAuracast送信機から複数台のAuracast受信機に向け、ブロードキャストによるオーディオの共有ができます。送信機の範囲内にある受信機であれば原則として受信する台数には制限がなく、公開での放送のみならず、パスコードの設定によって非公開での放送も可能です。これにより、公共の場での音声案内や聴覚障害者への聴覚補助、個人的な音声視聴から大衆向けエンタテインメントでの活用まで、用途が飛躍的に広がります。

 Auracast対応受信デバイスは、既にソニーやパナソニックなどからイヤフォン/補聴器などが発売され、2024年にはSamsung ElectronicsやXiaomi(シャオミ)などのスマホメーカーがOSでのAuracast対応を発表しています。同年5月にはGoogleがAuracastを提供する施設をGoogle Mapなどで表示/検索できる機能の追加を発表し、Auracastの実用に向けた態勢は着実に整いつつあります。

 一方、送信機や受信機のメーカーの間では、製品やソリューションへのAuracastの搭載には、Auracast対応したスマホの普及を待つ必要があるとの認識があります。しかし、実際にはその必要はありません。本稿では、Auracast受信機のメーカーがAuracastアシスタントアプリを開発することによって、既に普及しているAuracast非対応の旧世代スマホを、Auracast対応イヤフォンなどの製品を市場投入する際の障壁から製品の差別化要因へと変える方法をお伝えします。

Auracast利用に欠かせないAuracastアシスタント

 Auracastによるオーディオ共有には、以下の3つが必要となります。

  • Auracast受信機:イヤフォン、ヘッドセット、スピーカー、補聴器など
  • Auracast送信機:スマホ、タブレット、PC、テレビ、館内放送システムなど
  • Auracastアシスタント:Auracastによるオーディオ放送を表示・選択する機能を担う

 送信機・受信機と異なり比較的見落とされがちなこのAuracastアシスタントが、Auracast非対応の旧世代スマホでのAuracast利用の鍵となります。Auracastアシスタントは、以下の機能によって、ユーザー体験の多くの部分を担います。

  • 通信範囲内にいくつ、どのようなAuracastブロードキャストがあるかを発見
  • 各ブロードキャストが受信対象かどうかの判定と、受信対象となるブロードキャストの表示
  • Auracastブロードキャストの受信を開始/停止するためのシンプルなUIの提供
  • 容易に音量調節できる手段の提供

 Auracastアシスタントの候補としては、ユーザーの手元に常にあることの多いAuracast対応スマホやスマートウォッチが最も有力です。また、このアシスタントの機能は、イヤフォンなどの受信機とAuracast非対応の旧世代スマホとの間で分担させることもできます。

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