しかし、実際には、補聴器、イヤフォン、ヘッドフォンのメーカーは、スマートフォンがAuracastアシスタント機能に対応するのを待つ必要はありません。ユーザーが必要とするAuracastアシスタントの機能は、イヤフォン、ヘッドフォン、補聴器、スピーカーなどの受信機と、Auracastアシスタント機能を持たないAuracast非対応の旧世代スマホを組み合わせることで実現できます。
Auracastブロードキャストを発見/受信しようとするAuracast受信機は、アドバタイズをスキャンし、受信対象とするブロードキャストのデータベースを作成することが必要です。このために、通信範囲内にあるAuracast送信機からのアドバタイズを順に確認し、情報を保存します。
Bluetooth LE Audio仕様では、Auracast受信機とAuracastアシスタントのどちらもスキャンを行えますが、どちらが行うのかを決めるのはAuracast受信機で、以下のパターンが可能です。
アドバタイズのスキャンに対応していない旧世代スマホを使用するには、Auracast受信機にアドバタイズのスキャン機能を持たせる必要があります。これはBAP(Basic Audio Profile)で必須要件とされています。
Auracast送信機が1台しかない状況であれば、受信デバイスが直接単純なスキャンと受信を行うという方法で対応できる可能性があります。しかし、1つの場所の通信範囲内にAuracastブロードキャストのオーディオストリームが複数存在する状況が遠からず出てくる可能性が高いです。
利用できる複数のAuracastブロードキャストを旧世代スマホに表示するには、Auracast受信機でスキャンを行い、発見したストリームの情報をスマホのアプリに渡す必要があります。これは、シンプルにBluetoothのGATT通信を通して行うことができます。GATTは全てのBluetooth LEアプリケーションの基礎をなすもので、過去10年間に生産されたほぼ全てのスマホが対応していることから、旧世代スマホでも利用が可能です。
スマホアプリはイヤフォンのBroadcast Receive Stateキャラクタリスティックを読み取るか、変更があった場合に通知を受けるよう登録できます。アプリはこうして入手した選択肢を表示してユーザーに選んでもらい、その選択をAuracast受信機に返します。受信機はそのブロードキャストを探しに行き、同期して、再生を開始する、という仕組みです。
図2は、Auracastイヤフォンが、Auracast非対応の旧世代スマホ上のスタンドアロン型のアプリを使用してAuracastを実現する方法をまとめたものです。
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