著名な国内メーカーのテレビの電源基板の修理の続きだ。今回は電源基板のメイン出力部の修理結果を報告する。
著名な国内メーカーのテレビの電源基板の修理の続きだ(前回記事)。基板に実装された回路のうちPFC回路は正常だった。サブ電源の生成に使用されているICのデータシートを検索していたところ偶然、このICの応用回路が見つかった。それはこのテレビの電源基板に類似した回路図だった。今回は電源基板のメイン出力部の修理結果を報告する。まずは、電源の出力回路に使用されている制御ICの写真を図1に示す。
図1の中央にある18ピンの「CXD9841P」と型番が記載されたICが出力制御ICだった。このICのデータシートをWebで探したが見つからなかった。いろいろと検索したところ類似品の『Regulator IC(MCZ3001DB)』の説明資料が見つかった。図2に示す。
図2の資料では電気的な定格が全く分からなかったが、無いよりましだ。この図から、8ピンのVCIが電源端子で、動作する電源電圧は8Vから15Vと思われる。3ピンは発振回路だろう。AC100Vを通電して8ピンの電圧と3ピンの波形を確認した。8ピンの電圧は13.6Vで動作範囲には入っているようだ。しかし、3ピンには発振波形が見えず、CXD9841Pは動作していないようだ。テレビの類似回路の出力電圧部の回路を確認した。図3に示す。
CXD9841Pの起動電圧は、PFC制御部で14.3Vが生成されダイオードを通して13.6Vが供給されていた。出力電圧をシャントレギュレーターで監視して、設定の電圧でフォトカプラを制御してFB端子をLowにして出力を止めるようだ。
電源制御ICの起動電圧が不足している可能性がある。390V電源から8ピンへ100kΩの抵抗を接続し起動電流を補充してみた。しかし8ピンの電圧はほとんど上がらなかった。
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