マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初級者の方からよく質問される「クロックセキュリティシステム」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、初級者から多く寄せられる質問です。
マイコンにクロックセキュリティシステムが搭載されていますが、そもそもクロックセキュリティシステムとは何ですか? どのように使うものですか?
クロックセキュリティシステムは、発振回路の障害を自動的に検出するシステムです。例えば、水晶振動子やセラミック振動子自身の障害や、発振回路の断線によって、クロックが停止した場合を検出して、クロック源を切り替え、割り込みを発生させます。また、電源投入時に発振の起動から安定までをチェックして、クロックが安定して使える状態になったらフラグを立てて知らせます。
発振停止の検知にはさまざまな方法がありますが、最も簡単な方式は、コンデンサーを使う方法です。発振回路の発振信号をバッファー(インバーター)で受けます。バッファーの出力は、コンデンサーを充電するMOSにつながっています。このコンデンサーには、放電用の抵抗を付けておきます。クロックが供給されている間、コンデンサーはMOS経由で常に充電され、電位はハイレベルに保たれますが、クロックの供給が停止すると、充電されず抵抗を介して電荷が放電され、電位が下がります。この電位の低下を検出することにより、クロック停止を検出できます。そして、クロック停止割り込みを発生させます。同時に、クロックラインを正常に動作する発振回路に切り替え、マイコンは動作を継続します。
一方、起動時の発振検出には、カウンターの方法が最も簡単です。バッファーの出力をカウンターにつなげます。発振波形が成長すると、バッファーから矩形波が出力され、カウントを始めます。カウンターがオーバーフローすることにより発振が安定したと判断して、フラグを立てて知らせます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング