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サブハーモニック発振(1)発振のメカニズムたった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(25)(2/3 ページ)

» 2026年01月29日 11時00分 公開

制御方式とサブハーモニック発振

 ここで取り上げるコンバーターの制御方式は固定周波数のPWM制御の型式です。この制御されたPWM信号の生成方式は大きく分けて図1(a)誤差信号と三角波を比較する電圧制御型と、図1(b)誤差信号と電流波形を比較する電流制御型に分けられます。
 表1に電圧制御型と電流制御型の主な波形とその特徴を比較します。それぞれ表1に示す特徴があるので周辺回路との整合性や目的に合わせて回路方式を選択することが大事です。なお図1表1では誤差信号や電流の傾斜を同一にして比較していますのでPWMの広がり速度の差はよく分かると思います。

図1 図1:電圧制御形と電流制御形の動作波形[クリックで拡大]
電圧制御型 ・出力電圧と基準電圧の差分を増幅して三角波と比較し、その結果でPWM制御を行います。
・三角波生成回路や過電流保護回路が必要になります。
・三角波に各種信号を加算することで複雑な制御を可能にします。
・SW素子の電流変化は誤差信号の傾きと無関係です。(PWMの広がりが早い)
・制御専用ICとしてよく用いられます。
電流制御型 ・出力電圧と基準電圧の差分を増幅してSW素子の電流ピーク値と比較しPWM制御を行います。
・発振器は一定周期のパルス波形でよく、また特別な過電流保護回路を必要としません。
・SW素子の電流変化は誤差信号の変化速度に制限されます。
・全体的に回路が簡素なので安価なICに標準的に用いられます。
表1:各制御方式の特徴

 このように簡素、かつ安価ということから市販の制御ICには電流制御型が多く用いられています。
 ですがこの電流制御型は図2に示すサブハーモニック発振という固有の現象を伴います。この現象は制御の安定性とは無関係に引き起こされるもので位相補償定数では対処できません。
 サブハーモニック発振の現象についてまとめると次の特徴があります。

図2 図2:サブハーモニック発振時のSW素子の電流波形

【サブハーモニック発振】
 電流制御型の制御方式を用いた場合に位相補償に関わらず駆動周波数の1/2の周波数で波形が変化する現象。ただし、異常発振時でもピーク電流値は一定値に制御されています。
 このサブハーモニック発振は次の条件が全て満たされた時に発生します。

  1. 電流制御型であること
  2. 通電率δが0.5以上であること
  3. 電流連続モードであること

 ただし、“このICは電圧制御型だから無関係”と安心していると「定電圧制御」モードでは安定していても過電流保護回路が動作した途端に次の理由でサブハーモニック発振を引き起こす時があります。
多くの電圧制御型ICの過電流保護回路は1パルス毎にスイッチング素子の電流を検出して動作しますが、この動作は電流のピーク値を制御する電流制御型そのものだからです。
 結局、サブハーモニック発振への対応は制御方式に関わらず必要になります。

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