2000年に入ると、コアそのものの作り直しが行われた。それが「SH-2A」と「SH-4A」である。SH-2AはSH-2をベースにSuperScalar化を行い、動作周波数も200MHzに到達。さらにこのSH-2AをDual Core化した「SH-2A Dual」も2007年に発表されている。面白いのは、SH-2A DualはAMP(Asymmetric Multi Processing)構成なので、2つのコアで別々のRTOSを載せたりすることが可能だった。一方SH-4Aの方はパイプライン段数の増加やキャッシュ命令の強化などを行ったもので、こちらは2004年に発表されている。シングルコア製品は最大600MHz、デュアルコア製品は533MHzまで動作周波数を引き上げており、SH-Mobileや「SH-Navi」の後継製品に採用された。
これに続き、1999年には「SH-5」の設計が完了する(図5)。動作周波数は最終的に500MHzあたりまで引き上げることを想定しており、400MHz駆動での推定性能はDhrystone v2.1で604MIPS、SIMDエンジンは8bitで9.6GOPS、16bitで1.6 MMACS、浮動小数点演算性能はピークで2.8GFlopsとされていた。内部は完全64bit化され、2-way SuperScalarのままだがPipelineはSH-4の5段からSH-7では7段に増強。これを利用してのシリーズ展開を考慮していたようだ。ちなみにこのSH-5はSTMicroelectronicsとの共同開発であり、両社はSH-5をベースに64bit MPU向けのマーケットを開拓しようとしていた。
ただこのSH-5は最終的に製品化に至らなかった。理由は簡単で、この頃になると主要な半導体メーカーはみんなARMからCPU IPのライセンスを受け、これを利用した製品を市場に送り出すようになり、結果としてARMアーキテクチャが組み込み向けでもメジャーになりつつあったからだ。辛うじて同じ様にCPUのIPライセンスを行っていたMIPS製品がハイエンド向けでは健闘したものの、逆に数が出るボリュームゾーンはARMに席巻されてしまっており、これはSuperHも同じであった。遅まきながら日立とSTMicroelectronicsも2001年にSuperH,Inc.を設立してIP(Intellectual Property)ライセンス(SH-X)の供与というビジネスに乗り出すことにしたものの、時既に遅しであった(図6)。ここで言うSH-Xというのは要するにSH-5のIPバージョンであり、これに続いてSH-6やSH-7に相当するIPも開発予定であったが、結局顧客を獲得する事ができなかった。
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