Wafer Mapと不良モードの分類から、不良の全体像をどうつかむのかを、この章で確認します。不良の位置と種類という二つの切り口から、絞り込みが始まります。
異常な不良モードの増加が確認できたら、次に確認するのがWafer Map(ウエハー上の不良の発生位置を示す地図)です。不良がウエハー全面にランダムに発生しているのか、それとも特定の位置に偏って発生しているのかは、原因を絞り込むうえで重要な手掛かりになります。
Wafer Mapの分布には、原因を絞り込むための手掛かりが含まれています。ランダムに見えるのか、特定の位置に偏っているのかによって、次に確認すべきデータや切り口が変わります。
今回の説明用事例でWafer Mapを確認すると、不良はウエハー全面に均一に分布しておらず、外周部に偏って増加する傾向が見られました。この時点で、不良の発生には何らかの位置的な要因が関わっている可能性が見えてきます。
Wafer Map上の分布と並行して、不良モードの分類も進めます。同じ不良という結果でも、発生のメカニズムが異なる複数の不良モードが混在していることは珍しくありません。
それぞれの不良モードが歩留まり低下にどの程度影響しているのかを確認し、影響の大きいものから優先的に調べる不良を見極めていきます。
今回の説明用事例でも、不良モードを分類した結果、歩留まり低下に大きく影響している特定の不良モードが見つかりました。そこで、この不良モードを優先して原因を追っていくことになりました。全ての不良を同時に追いかけるのではなく、影響の大きいものから着手するという考え方が、この後の効率的な原因絞り込みにつながります。
複数の不良モードがある中で、調査の優先順位をどう決めるのか。この章では、限られた時間の中で効果的に原因を絞り込む考え方を取り上げます。
量産ラインでは、一つの製品に対して複数の不良モードが同時に発生することも少なくありません。その全てを同じ優先度で調査するのは現実的ではありません。
そこで、Pareto分析(不良の件数や影響度を大きい順に並べ、全体に占める割合を確認する分析手法)を用いて、影響の大きい不良モードから優先的に対応していきます。
歩留まり改善において重要なのは、目についた不良から手当たり次第に調べるのではなく、全体への影響度を定量的に把握したうえで、優先順位を決めることです。これにより、限られたリソースを最も効果の大きい調査に集中させることができます。
優先度を決める際には、不良の発生件数や歩留まりへの影響度に加え、次のような観点も考慮します。
例えば、件数自体は少なくても、高付加価値な製品に集中して発生している不良や、原因の特定が難しく後工程まで影響が広がりやすい不良は、優先度を上げて調査すべき対象になります。このように複数の観点から優先度を判断することが、歩留まり改善を効率的に進めるうえで欠かせない視点です。
ここまで、歩留まり低下の兆候をどのように捉え、調査対象となる不良をどう絞り込むのかを見てきました。歩留まりの変化だけで判断するのではなく、電気特性や欠陥検査などのデータを確認し、Wafer Mapから不良の分布を把握します。さらに不良モードを分類し、歩留まりへの影響度などから優先して調べる対象を決めていきます。
ただし、ここまでで分かったのは「どの不良を優先して追うか」までです。次に必要なのは、その不良がどの製品、Lot、工程、装置などに偏っているのかを調べることです。
次回は、データをさまざまな切り口で分類する「層別」を使い、膨大な製造履歴の中から原因につながる手掛かりをどう探していくのかを見ていきます。
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鳥海五歩(とりうみ・ごほ)
千葉県生まれ。木更津工業高等専門学校電子制御工学科卒業。国内半導体メーカーにて立ち上げ・導入支援業務を経験後、国内大手半導体メーカーにて17年間、量産工場のフォトリソグラフィ工程に従事。生産技術、歩留まり改善、量産立ち上げなどを担当し、半導体業界で20年以上の経験を有する。
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