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PFC用インターリーブ型昇圧コンバータの利点(2/3 ページ)

» 2006年07月01日 00時00分 公開
[Michael O'Loughlin(米Texas Instruments社),EDN]

インダクタの値を評価する

 PFCプリレギュレータをインターリーブすることにより、インダクタの値がどれだけ縮小可能かを評価するために、単一段および2相の昇圧プリレギュレータの数値的な比較を行った(図5)。設計要件は、最大出力電力POUTが約350W、最小ライン入力VINMINが85Vrms、最大ライン入力265Vrms、推定コンバータ効率95%とした。インダクタのスイッチング周波数fSは100kHzである。インダクタの入力リップル電流要件は30%で、どちらの構成におけるインダクタも入力電流が最小および最大のときに、インダクタリップル電流が最大となる。


図5 350Wの2相プリレギュレータをインターリーブした場合の効果を評価する回路。 図5 350Wの2相プリレギュレータをインターリーブした場合の効果を評価する回路。 
図6 PFC昇圧プリレギュレータのデューティ比はライン電圧V<sub>IN</sub>(t)に伴い変化する。デューティ比の時間関数D<sub>1</sub>(t)は、入力が85Vrmsの場合の、デューティ比がラインの変化に伴って変化する様子を表す。関数D<sub>2</sub>(t)は、最大入力265V<sub>rms</sub>の場合にデューティ比が変化する様子を表す。 図6 PFC昇圧プリレギュレータのデューティ比はライン電圧VIN(t)に伴い変化する。デューティ比の時間関数D1(t)は、入力が85Vrmsの場合の、デューティ比がラインの変化に伴って変化する様子を表す。関数D2(t)は、最大入力265Vrmsの場合にデューティ比が変化する様子を表す。 

 いずれの設計においても、リップル電流が最悪の場合に基づいてインダクタを選択した。ユニバーサル入力のコンバータでリップル電流が最大となるのは、最小デューティ比0.67で動作している場合に、ピークライン電圧においてAC入力が最小になるときである。図6は、ライン電圧VIN(t)の変化に伴い、デューティ比が変動する様子を示したものである。関数D1(t)は、入力が85Vrmsの場合に、デューティ比がラインの変化に伴いどのように変化するかを表す。関数D2(t)は、最大入力265Vrmsの場合に、デューティ比が変化する様子を表す。コンバータが最大入力265Vrmsで動作している場合は、入力電圧が出力電圧の半分となるときにインダクタリップル電流が最大となる。ライン電圧が出力電圧に近づくにつれ、デューティ比は減少し、インダクタリップル電流は小さくなる。

 単一段PFCプリレギュレータのインダクタリップル電流は、コンバータの入力において顕著である。ユニバーサル入力の単一段PFCインダクタはおよそ450μHとなる。これは入力85Vrms、最小デューティ比0.67において、インダクタリップル電流が最大となった場合に基づいて計算した結果である。

 2相のインターリーブ型プリレギュレータの入力電流リップル要件は、従来のプリレギュレータと同じである。インターリーブした昇圧段の1つにおけるインダクタ電流の変化は、約3.4Aである。最小RMS入力電圧における可変最小デューティ比に必要なインダクタンスは約245μHとなり、同じ電力レベルにおける単一段PFCプリレギュレータが必要とするインダクタンスの約半分となる。

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