昇圧型コンバータ(ブーストコンバータ)の場合も、基本的な理論は降圧型コンバータの場合と同様である。ループ領域の変化を最小化するには、図11に示すように、出力コンデンサによってハイサイドスイッチとローサイドスイッチをバイパスする。
直交する2つの配線(コンダクタ)は、磁気的には互いに干渉しない。垂直方向の配線からの磁場が発生させる正負電圧が水平方向の配線によって打ち消されるからだ(図A)。
等価な電流が流れる2つの並列配線を取り巻く磁場線は、配線間のすべての部分で打ち消される(図B)。そのため、蓄積されるエネルギの総量は、単独で配線が存在する場合よりも少なくなる。なお、プリント回路基板の配線幅が広いほうが、狭い場合よりもインダクタンスは小さい。
電流が反対方向に流れる並列配線を取り巻く磁場線は、コンダクタの外側では打ち消され、内側では増加する(図C)。内側のループ領域を小さくすれば、総磁束量も少なくなる。
次に、コーナーのインダクタンスについて考えてみる(図D)。この部分では、垂直方向/水平方向の配線のそれぞれから磁場が生じる。結果として、コーナーの部分でのインダクタンスはより大きくなる。
続いて、ビアを介した電流の流れについて見てみる。図Eのように、電流は上層配線からビアを通ってグラウンドプレーンに流れ、再びビアを通ってソースの下部に流れる。このリターン電流では、DC電流が最も抵抗の小さいパスを通り、AC電流が最もインピーダンスの小さいパスを通る。この場合、上層配線とグラウンドプレーンのスリットがインピーダンスを増加させるため、グランウドバウンスが発生し得る。
最後に、コンデンサと配線の関係について考えてみる。図F(a)は、良いレイアウトの例である。電流の流れと平行にコンデンサを配置することで、ループ領域を最小化している。一方、図F(b)のようにコンデンサを配置すると、不必要にループ領域が大きくなってグラウンドバウンスが発生する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.