NAB(Native Application Builder)プロジェクトは組み込み機器向けのGUI開発プラットフォームの構築を目的とし、富士通の提案によって2006年1月に設立された。プロジェクトリードは筆者が務めている。同プロジェクトからは開発ツールである「NAB plug-in for MWT」が公開されている。これを利用することにより、Eclipse上で、C++を用いた組み込みGUIアプリケーションのビジュアルな開発が行える(図3)。
NABプロジェクトは、組み込み機器をスコープとするDSDPプロジェクトの中でもGUIの開発に焦点を当て、統合開発環境「WideStudio*5)」をEclipseに移植するために構想された。現状では、WideStudio/MWTプロジェクトのMWT(multiplatform widget toolkit)ライブラリに対応したプラグインが提供されている。同ライブラリは、組み込み機器からデスクトップ型パソコンまでシームレスに対応するため、表2に示したような多様なプラットフォーム上でのGUIアプリケーション開発が可能になる。とはいっても、NABのアーキテクチャはMWTライブラリに特化することなく、ほかのGUIライブラリにも適用できるよう設計されている(図4)。
NABを用いれば、組み込み機器向けのGUI開発も、パソコン上でのGUI開発と同様にビジュアルに行うことが可能になる。また、開発したC/C++ソースコードを変更することなくコンパイルし直すだけで、WindowsやLinuxを含めたさまざまなプラットフォーム用のアプリケーションが作成できる。従って、組み込み機器のハードウエア開発の途中でも、先行してGUIの開発とデバッグが行える。
NAB plug-in for MWTは、CDTとの組み合わせにより、GUIベースのアプリケーションをビジュアルにWYSIWYG*6)環境で作成するための機能を提供する。具体的には、以下のような機能だ。
NABプロジェクトは多種のツールのための拡張可能なプラットフォームを目指し、新たな機能追加やほかのGUIライブラリ(GTKなど)に対応すべく活動を行っている。
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