本稿では、簡易かつ低コストでQAM(quadrature amplitude modulation:直交振幅変調)マッピングを行う回路を紹介する。図1に示したのがその回路である。マイクロコントローラ、2個のD-Aコンバータ、2個のインバータだけで構成し、ルックアップテーブルなどは使用していない。
マイクロコントローラと、2の補数形式の並列入力で動作する10ビットD-Aコンバータを使用して256レベルのQAM信号を生成するケースについて考える。256レベルのQAM信号は直交する2チャンネルの16レベルASK(amplitude shift keying:振幅偏移変調)信号に分離できるので、各チャンネルを対称的に構成する手法を適用できる。図1の回路は完全に対称な構成で、16レベルASKの信号点をマッピングする。そのために用いる連結ロジック回路(glue logic)はわずか2個のインバータだけである。それぞれの連結ロジック回路を利用してマイクロコントローラからの4チャンネルの出力を10ビットの2の補数に変換し、各D-Aコンバータに直接入力する(表1)。各D-Aコンバータに入力する信号点間の距離は均等にする。なお、表1の「D-Aコンバータの出力」の欄は、電流出力型D-Aコンバータの後段に電流/電圧変換器を接続した場合の規格化した出力である。
256レベルのQAMに対しては8ビットのデータを必要とするが、これはほとんどのマイクロコントローラが搭載する汎用I/Oバンクのビット長に合致する。8ビットのすべてを同時にセットすることにより、互いに直交する各チャンネルの信号に対し同期を取ることができる。
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