UL Japanは2009年10月、都内でリチウムイオン電池の安全基準に関する記者説明会を行った。その際、同社の親会社である米Underwriters Laboratories(以下、UL)社が進めている車載用リチウムイオン電池に関する安全規格の策定作業が、早ければ2010年初頭に完了することを明らかにした。
「UL規格」として知られるUL社の安全規格のうち、リチウムイオン電池に関連するものには、リチウムイオン電池の電池セルを対象とする「UL 1642」と電池セルを組み合わせた電池パックを対象とする「UL 2054」がある。UL Japanでマーケティング部の部長を務める川口昇氏は、「これら2つの規格は、主に携帯電話機やパソコンなど、小型の電子機器で用いられることを前提として作られた。しかし、リチウムイオン電池の用途は、小型の電子機器よりも大きな容量を必要とする電動自転車や電動自動車などにも広がっている。そこで、UL社は、リチウムイオン電池を搭載する機器のサイズに合わせて、電動自転車向け、電動自動車向け、電車/トラック/家庭用蓄電池向けの3つの規格を策定しているところだ」と語る。これらのうち、最も策定作業が進んでいるのが、電動自動車向けの「Subject 2580」である。すでに、社内における策定作業をほぼ完了しており、社外の人材とともに規格の評価を進める段階に入っている。「2010年初頭にも規格化を完了できるだろう」(川口氏)という。
UL Japanは、リチウムイオン電池が電気用品安全法の規制対象になったことを受けて、2008年9月から電池パックの安全規格に対する適合性評価サービスを開始した。また、2009年9月からは、試験所の設備と人員を拡充することにより、電池セルの安全規格に対する適合性評価サービスも開始している。両サービスとも、UL規格と電気用品安全法の規格認証を得ることができるようになっている。川口氏は、「今後は、国際規格であるIEC 62133にも対応できるようにしていきたい」と述べた。
(朴 尚洙)
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