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自励発振型H ブリッジ回路で白色LED を駆動Design Ideas

» 2010年03月01日 00時00分 公開
[Luca Bruno(イタリアITIS Hensemberger Monza校),EDN]

 バイポーラトランジスタを用いる一般的な無安定マルチバイブレータにおいて、プルアップ用のコレクタ抵抗をpnpバイポーラトランジスタで置き換えると、自励発振型のHブリッジ回路が得られる。このようにして実現したHブリッジ回路は、0.6V程度の電源電圧でも発振する。そのため、一般的な低電圧/低電力のプッシュプル用途に利用できる。一例を挙げると、ダイオードとコンデンサで構成したチャージポンプの駆動源として利用し、電池を基に負電圧を発生するといった具合である。

 本稿では、この自励発振型のHブリッジ回路を利用し、単セル電池を電源として、インダクタを必要としない白色LED駆動回路を紹介する。

図1自励発振式Hブリッジを利用した白色LED駆動回路 図1自励発振式Hブリッジを利用した白色LED駆動回路 抵抗R1、R2とコンデンサC1、C2により発振周波数が決まる。

 図1の回路では、4つのトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4によってHブリッジ回路が構成されている。これに2個のコンデンサC3、C4を付加することで、簡易的なチャージポンプとして機能させることが可能になる。C3、C4としては、低価格のセラミックコンデンサを利用することができる。

 この回路の動作は以下のようになる。まずQ2とQ4がオンのとき、順方向にバイアスされたショットキーダイオードD1とD2を介して、それぞれC3とC4が電池の電圧VBATまで充電される。一方、Q1とQ3がオンのときには、C3、C4に蓄積された電荷が、抵抗R5、R6および白色LED(D3)を介して放電される。これら2つの過程が高速に繰り返されるので、D3は常にオンしているかのように見える。

 白色LED両端の電圧はほぼ一定に保たれ、公称電圧が1.5Vの電池を使用して計測したところ3.8Vとなった。これは、順方向電圧が3V〜3.5Vの白色LEDを点灯させるのに十分な値である。R5、R6によって白色LEDを流れるピーク電流が決まるとともに、プッシュプル出力段(図のA点)に生じる電流スパイクのレベルが制限される。

 この回路は、時定数R1×C1およびR2×C2によって決まる周波数で発振する。この周波数は、コンデンサC3とC4を充電するのに要する時間と、放電電流をどのくらい低減する必要があるのかというトレードオフを検討して設定する必要がある。つまり、C3とC4の値を決めたら、それらに対して最適な周波数を実験的に求めなければならないということだ。

 各部品の定数が図1のとおりであれば、LEDの駆動電流は、発振周波数が66kHz、デューティサイクルが50%、ピーク値が20mA、平均値が10mAの矩形波となる。

 電池の電圧が低下すると、LEDの輝度も低くなる。そして、電圧が0.9V以下になると白色LEDはオフになる。効率を向上するためには、直流電流増幅率が高く、コレクタ−エミッタ間飽和電圧が低い小信号用のトランジスタを使用するとよい。

 なお、使用可能な白色LEDの種類については、特に制限はなく、一般的な製品であれば、問題なく使用できる。

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