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携帯電話機カメラ向けの新型アクチュエータ――『MITSUMI SHOW 2010』から(その3)

» 2010年03月04日 00時00分 公開
[EDN Japan]

写真1 オートフォーカス用アクチュエータの比較 写真1 オートフォーカス用アクチュエータの比較  左側がVCMアクチュエータ、右側がSMAアクチュエータである。

 ミツミ電機は、同社のプライベートショー『MITSUMI SHOW 2010』(2010年2月25日〜26日)において、携帯電話機に搭載するカメラ向けのアクチュエータについて、開発中の製品を2種類展示した。

 1つは、オートフォーカス用に用いるSMA(Shape Memory Alloy)アクチュエータである。オートフォーカス用のアクチュエータは、中に組み込まれたレンズを上下させることにより、撮影対象物に焦点を合わせられるようにする。従来は、磁石とコイルを用いた電磁力によってレンズを動作させるVCM(Voice Coil Motor)アクチュエータが主流だった。これに対して、SMAアクチュエータは、形状記憶合金に通電して加熱することにより、レンズを上下させる。「形状記憶合金に通電するだけで動作するSMAアクチュエータでは、VCMアクチュエータと比べて内部の構成部品の数やサイズを削減することが可能になる。つまり、レンズのサイズが同じであれば、より小型のアクチュエータを実現できるし、同じサイズのアクチュエータであれば、より大型のレンズを搭載できるようになる」(ミツミ電機)という。展示では、ほぼ同サイズのVCMアクチュエータとSMAアクチュエータを比較し、それぞれに搭載できるレンズの径が異なることを示した(写真1)。VCMアクチュエータは、横9.5mm×縦9.5mmに対して、レンズ径は7.5mm。一方、SMAアクチュエータは、横9.5mm×縦9.3mmに対して、レンズ径は8.2mmである。同社は、SMAアクチュエータの量産を、2011年中ごろから開始する予定である。

写真2 レンズバレルシフト方式のOISモジュール 写真2 レンズバレルシフト方式のOISモジュール 

 もう1つは、手振れ補正に用いるOIS(Optical Image Stabilizer)モジュールである(写真2)。従来の同社OISは、カメラモジュール全体を動かすことで手振れを補正するカメラチルト方式を採用していた。これに対して、新たに開発したOISは、モジュール内部のレンズバレルを動かすレンズバレルシフト方式を採用した。これにより、モジュールの厚みを大幅に削減するなどの小型化を実現できた。カメラチルト方式の製品のサイズが、横15.0mm×縦15.00mm×厚さ9.2mmであるのに対して、開発中のレンズバレルシフト方式の製品は、横12.5mm×縦12.5mm×厚さ5.22mmとなっている。なお、搭載されているレンズの径は8.0mmである。

 また、ミツミ電機は光学3倍ズームの携帯電話機カメラ向けアクチュエータの開発も検討している。これは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)材料を用いた圧電技術を応用したものになるという。

(朴 尚洙)

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