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「7500億円規模の国内エンタープライズPLM市場を狙う」――PTCジャパンが事業戦略を説明

» 2010年04月28日 00時00分 公開
[EDN Japan]

 PTCジャパンは2010年4月、新本社(東京都新宿区)で記者会見を開き、PLM(製品ライフサイクル管理)システム「Windchill」の事業戦略について説明した。

 会見において、PTCジャパン社長の桑原宏昭氏(写真1)は、まず新本社のことについて触れた。これまで、同社の東京地区の拠点は、営業機能などを持つ本社、サポート部門、2007年に買収した旧ドイツCoCreate Software社の事業部門の3つに分かれていた。桑原氏は「拠点が3つに分かれていることは事業を効率的に展開する上で障害になる。そこで、2010年4月から、これらの3つの拠点を新本社に統合した」と説明する。


写真1 PTCジャパンの桑原宏昭氏 写真1 PTCジャパンの桑原宏昭氏 

 その上で、桑原氏は同社の製品について説明を行った。同社の主力製品は、3次元CADツール「Pro/ENGINER」とPLMシステムのWindchillの2つに分けられる。同氏は、これらのうちWindchillについて、「エンタープライズPLM」という位置付けで国内展開を強化する方針を示した。この点について、同氏は次のように述べた。

 「これまでの日本のモノづくり環境としては、製品の設計をCAD/CAE/CAMツールで行い、製品の製造に関するプロセスの管理をPDM(製品情報管理)/PLMシステムで行うというのが主流だった。しかし、今後求められるであろう、グローバルで競争力を持つモノづくりを行うためには、CRM(顧客関係管理)/ERP(企業資源計画)/SCM(供給連鎖管理)の各システムなど、いわゆるエンタープライズ系のシステムと連携したモノづくり環境を構築する必要が出てくる(図1)。われわれは、こうしたエンタープライズ系システムとの連携が可能なPLMを、エンタープライズPLMと呼んでいる。そして、欧米や中国、韓国では、すでにエンタープライズPLMを導入する取り組みが始まっている。われわれは、これらの地域における米PTC社の導入事例を基に、国内の顧客にエンタープライズPLMを積極的に提案していきたい」。

図1 従来のPLMとエンタープライズPLMの比較 図1 従来のPLMとエンタープライズPLMの比較 

 同氏によれば、「日本におけるCAD/CAE/CAMツールや旧来のPDM/PLMシステムの市場規模は8億米ドル(約748億円)程度。これまで当社が対象としてきたのがこの市場だ。しかし、エンタープライズPLMの場合、これまでのエンタープライズ系システム市場を取り込むことになるため、市場規模は80億米ドル(約7480億円)まで拡大する可能性がある」という。

 また、同社は、国内販売を行う上で直販に軸足を置いてきた。桑原氏は、「このこともあり、自社内にコンサルティングやサポートの担当者が約250人いる。エンタープライズPLMの事業展開では、この豊富な人材を活用することになる。代理店販売を主軸としていた競合の外資系CADツール/PLMシステムベンダーは、これほどの人材をそろえていない。この事実は当社にとって有利に働くだろう」と述べている。

(朴 尚洙)

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